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「児玉誉士夫 巨魁の昭和史」 [昭和史]

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  文春新書の一冊。2013年刊。
  著者は有馬哲夫さん。

  戦中、戦後を通して暗躍した右翼国粋活動家、児玉誉士夫に迫る。


1 戦前の活動
  児玉は10代で右翼団体に所属し、21歳で満州に渡ったのを皮切りに、何度も中国と日本の間を往復するようになる。
  そうした中で、児玉は次第に日本陸軍の手先として、以下のような役割を担うようになる。
  ① 情報収集
  ② 物資の調達

  1941年11月、30歳の時に海軍航空本部から戦略物資の調達を依頼される。
  調達は物々交換で行い、児玉は、満州で栽培されたアヘンや、中国の占領地で没収した貴金属を相手に渡して必要な物資を調達した。

  これらの業務で巨額の利益を得て、中国でタングステンやモリブデンなどのレアメタルの鉱山を開発したり、製鉄所を作ったりもしていた。また、終戦間近では、日本国内でも6か所のレアメタル鉱山を保有するようになっていた。

2 巣鴨プリズンへの収監
  児玉は46年1月、A級戦争犯罪容疑者の指定を受けて巣鴨プリズンへ収監された。
  容疑は、不正蓄財疑惑、アヘンを使った物資調達など。

  いろいろ調べられたが、児玉は1948年12月、無罪放免となった。

3 戦後の活動
(1)海軍からの資産
  海軍が児玉に預けて残っていた資産については、そのまま児玉の手元に置かれ、海軍の生き残りの人たちのために使ってくれということだった。
  児玉はそうした資産を鳩山や河野といった有力政治家へ渡したとも言われている。
  児玉は河野と一緒にダイヤモンドを売り歩いたといううわさもある。

(2)台湾での活動
  1949年、中国共産党と闘っていた国民党のために、台湾義勇軍を中国本土に送り込むため、児玉は募兵活動や輸送の手配を引き受けた。
  児玉は、台湾独立運動にも加担した。
  これらに必要な資金を調達するため、台湾船で医薬品などを日本に密輸することも行った。

  これらはアジアでの共産化を防ぐための活動であり、GHQの手先となって行ったものとみられる。

(3)日本での反共産主義プロパガンダ
  アメリカは、日本を親米的で反共産主義的な国に確実に再生させるためには、心理戦と政治戦を行うことが必要と考えた。
  そのためには、日本の政治家、外交官、知識人、メディア関係者、労働組合、学生組織等に資金を与えて協力させることが必要であった。

  この資金の調達方法としてアメリカ側は、児玉が大量にか抱えていたタングステンの利用を考えた。
  アメリカ側は児玉を通じてタングステンをかなりの安値で買い付け、これによって得た巨額の資金を基に対日政治・心理戦を行った。
  日本テレビの設立には、その一環としてアメリカの資金も使われた。
  児玉もこれらにより巨額の資金を得た。

(4)政界工作
  児玉は、再軍備に消極的な吉田茂首相を排除し、再軍備に積極的な鳩山一郎や重光葵を支援して、首相にしようとした。
  1952年には、鳩山に政権を取らせるためのクーデター計画にも児玉は名を連ねたとのうわさもあったが、この計画は実行に移されることはなかった。
  鳩山に対してはCIAからも支援金が出ていた。

  児玉の活動の基本方針は以下の通りで、アメリカの方針とも一致していた。
  ① 反共産主義
  ② ナショナリズムの復活
  ③ 再軍備

(5)鳩山政権の成立
  1954年12月、児玉が支援していた鳩山一郎が首相になった。
  鳩山は「自主防衛」という考えを明確にした。
  しかし、鳩山はソ連との国交回復を政治目標に掲げる。
  これは児玉の考えとは相容れず、関係が弱まることになる。

(6)ロッキード社との関係
  1957年に成立した岸内閣で、自衛隊の次期主力戦闘機の機種選定で揉めた。
  首相の岸はグラマンを押し、河野と児玉はロッキードを主張した。
  岸は、グラマン社やCIAから資金的な支援を受けていたとみられる・
  児玉はその後、ロッキード社の秘密顧問に就任している。
  最終的に、ロッキード社が選ばれた。
  この決定により、ロッキード社から児玉や政界に相当のお金が流れたとみられている。

  その後、ロッキード社の旅客機トライスターの全日空への売り込みの仲介も行った。
  しかし、ロッキード社が突然、アメリカの上院の委員会で、児玉に21億円のお金を渡していたことを証言した。
  児玉は仮病を使って病院に逃げ込んだが、後に、外国為替法違反と脱税で起訴され、児玉の活動は終わった。

  1984年1月、児玉は脳こうそくがもとで、71歳で亡くなった。

<児玉と岸信介>
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