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「東大留学生ディオンが見たニッポン」 [現代社会]

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  岩波ジュニア新書の一冊。2017年4月刊。
  著者のディオン・ン・ジェ・ティンさんは中華系シンガポール人で、シンガポールの高校を卒業後、東大に留学している。
  日本語は中学の頃から6年間勉強していた。

  日本人と同じように話をできるようになりたいという気持ちで取り組んでいる、日本語との苦闘や、異文化から来て日本の大学や学生について感じていることを率直に書いている。

  グローバル化する世界における日本の教育の在り方について考えさせられる。

1 日本に来て驚いた点や特徴的なこと
(1)商店街の道路が狭く、歩道もなくて、車に轢かれそうな気がした。車の運転手さんは事故を起こさないように慎重に運転しているみたいだけれども。

(2)区役所や銀行で手続きをするための書類や、そういうところから送ってくる書類はなかなか理解できない。英語のものも作るなど、外国から来た人にも分かりやすいものにした方がよい。

(3)外見を大事にする。
    日本では、近くのコンビニに行くときも、服装はもちろん化粧もしっかりとする。すっぴんで、家庭着とスリッパで出かけることが許される母国とは対照的。

(4)「先輩」、「後輩」の序列が明確。
    海外では、学校と職場の環境ではヒエラルキーに縛られることは考えられない。アジア系の場合、家庭における堅い上下関係があるが、家庭から離れると日本ほどのヒエラルキーはなかなか見つからない。


2 留学生同士の会話と、日本人との会話との差異
(1)日本人と話す際には、話題が決まりきったものに限られる傾向がある。国の文化の違い、気候、相手の特徴についての評価など。知り合って仲良くなった友達も、自分からそれ以上、話を広げようとしない。また、周りと違う自分の意見を言うと、気まずさと違和感を感じてしまう。

(2)留学生同士の場合、人それぞれ違うバックグラウンドと趣味があり、いきなり自分が聞いたり考えたりしたことのない話題が出てきても、その新しい話題に即興で自分の意見を言うようにして、会話を続ける。また、自分の意見や気持ちをはっきりと言葉にしやすい。

3 日常生活において感じること
(1)銀行などで、白人に対する応対と自分のような東アジア系の人に対する応対が明らかに違う。

(2)「日本語お上手ですね」といわれるが、その言葉の背後には日本語がそもそも日本人専用の言葉であるという考えがある。しかし、ノンネイティブが話す日本語も存在するということを認めることにより、外国人とのコミュニケーションがよりスムーズに、誤解を招かずに行えるのではないかと思う。

4 日本語の難しさ
(1)ものを借りた際に「これは私物です」といわれたが、その背後に「だから、使い終わったらすぐに私に返してください」というニュアンスが込められているということを理解できず、返すのが遅れてしまった。

(2)本音、建前、お世辞、社交辞令を区別する。
    「日本語、お上手ですね」
    「また遊びに来てね」 
    「ぜひ、また誘ってください」などの社交辞令。

(3)会話に関する文化の違い
    海外: なるべく自分の素直な一面を見せながら、食い違っている意見について話し合い、議論することによって妥協点に辿り着く。
    日本: 会話の参加者の間の平和を守り、衝突を招かずに済むことを最優先にする。

(4)先輩と会話するときにはちゃんと丁寧語で話さないといけないが、同級生とはタメ口で話すのが普通なので、その間の切り替えとしゃべり方への気遣いが難しい。

5 日本人の語学に対する取り組み
(1)日本の大学生は、中学、高校と6年間英語を勉強したのに、自分たち外国人と英語で話をしようとしない。英会話を練習するせっかくの機会なのに、とてももったいない。

(2)シンガポールでは、外国語の授業は英語なら英語でというように、最初からそれぞれの国の言葉を先生は使う。シンガポールで日本語を習った時も、教科書は日本語とイラストのみ。しかし、日本では英語を日本語で教えている。また、発音に対する指導にあまり力を入れていない。

(3)日本の大学は、第二外国語を必修にしているが、その必要があるのだろうか。いろいろな外国語を学ぶことは、視野を広げ、世界観を身につける良い機会となる。しかし、語学に興味がない、
6年間勉強してきた英語も不十分なままの人たちには苦痛以外の何物でもない。より学生のニーズに合わせた見直しが必要と思われる。

6 日本の学生に期待すること
(1)もっともっと海外に留学して異文化を経験してもらいたい。まだ、日本以外の文化、国、人に興味を持たない学生が恐ろしいほど多い。

(2)日本人は異端発言が少ない。まわりのみんなと違う発言を言い出すことには勇気が必要。なかま外れにされたくないという気持ちもある。しかし、その解決方法は、発言を避けることではなく、どうやって他人の気持ちに配慮し、傷つけないようにしながら自分の意見を言うかにある、人それぞれ違うという多様性を受け入れる気持ちが広がってほしい。



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