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「被告の背中 記者が迫った法廷ひと模様」 [現代社会]

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  東京新聞社会部編。東京新聞出版局刊。
  記者が法廷で見た人間模様を描く。

1 古本売りで五度摘発された男
  被告はJR新宿駅前の歩道で古雑誌を売り、道路交通法違反容疑(道路の無許可使用)で現行犯逮捕された。同じ罪ですでに五度捕まっている。

  ホームレス仲間が拾って集めてきた漫画や週刊誌を路上で売る。これで自分もホームレス仲間も食つなぐことができる。「懲役三か月」の判決だった。裁判官は、他の仕事を見つけるように、と言うが。

2 献身的な介護の末に
  79歳の夫は肝臓がんで入院したあと、退院して自宅に戻ったが寝たきり。流動食さえ食べられなくなっていた。自分も腰痛などで、ベッドから落ちた夫をベッドに戻すこともできず、また、夫の着替えも満足にできなくなっていた。

  「二人で死ぬしかない」と思い、夫の首を絞め、自分も死のうとしたが死にきれなかった。判決は、「懲役三年、執行猶予五年」という寛大なものであった。

3 産院取り違え訴訟
  父はO型、母はB型なのに自分はA型。親子関係に疑問を持ち、DNA鑑定の結果、親子ではないことが判明。本当の親のことが知りたくて、東京都や区役所に調査を依頼するが、古いことで調べようがないとの返事ばかり。母親も実の子のことを知りたがった。

  損害賠償訴訟を起こし、判決は、東京都の責任を認め、2千万円の支払いを命じた。しかし、東京都から間違えた相手を探すための協力は得られず、依然として分からないまま。

4 振り込め詐欺事件
  電話をかけ相手をだます役をして、半年間で4,500万円をだまし取った。自分はそのうち1,500万円を受け取ったが、1年半後に逮捕された。その数日後に、それまであまり心を通じ合うことのなかった父親が面会に来て、自分に優しい言葉をかけ、涙を流してくれた。

  泣いてまで自分のことを心配してくれる父の姿を見て、自分はそういう親が子を思う気持ちを利用してしまった、と気がついた。判決は懲役2年2か月の実刑だった。

5 偽札偽造の元大学生
  27歳の無職の男性が、パソコンで印刷して作った偽造1万円札3枚をもって繁華街を歩いている途中で、職務質問してきた警官に偽札を見つけられ、通貨偽造容疑で逮捕された。偽札は裏表が上下逆の稚拙なもの。

  しかし、通貨偽造は「無期または3年以上の有期懲役」の大罪。判決は「懲役3年、執行猶予5年」という寛大なもの。偽札が粗雑なもので、まだ使われてもいなかったことが考慮された。

6 図工教諭殺人事件
  足立区の小学校に勤めていた女性教諭が突然いなくなった。家族が捜索願を出したが、行方は分からなかった。しかし、それから26年後、当時、同じ学校に警備員として勤務していた男が自首してきた。その男の自供により、自宅床下から白骨死体が見つかった。

  時効が完成しており、刑事責任を問えないことを知っての自首だった。家族はその男と足立区に対して損害賠償の訴訟を起こした。足立区は2,500万円を支払うことで和解した。その男は和解に応じなかったが、4,200万円の支払いを命じる判決が下った。

7 ひき逃げ犯にされて
  28歳の男性が、重症ひき逃げ犯の容疑者として逮捕された。その男性は全く身に覚えがなく、無実を訴えた。真犯人は逮捕された男性の二人の友人だった。二人は事故現場の近くのコンビニで逮捕された男性と別れた後、車で人をはね、逃げていた。二人は逮捕された男性が運転していたと主張し、裁判でもそのように証言した。

  しかし、結局、その二人が真犯人であることが分かり、逮捕された男性は無罪放免となった。拘置されていた期間は10か月に及んでいた。警察も検察も二人のウソを見抜けなかった。

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