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イギリスのビールとパブ [食事]

ビター.png 
<ビター>

  *「パブとビールイギリス」(平凡社、2008年刊、飯田操著)
   ならびにインターネット情報に拠る。

1 ビター
(1)ビターとは、もともと「エール」と呼ばれていたイギリス発祥のビールに由来しており、多めのホップが使用され、苦みが利いていることから「ビター(苦い)」という名前で呼ばれるようになった。

(2)ビターの場合、酵母は比較的高めの温度で短期間に発酵が進み、上面に浮き上がるものを使用する。

(3)パブでは、地下室に置いた樽からハンドポンプでビターをくみ出す。特に人工的に冷やしたりしていないので、提供されるビターはさほど冷たくはない。しかし、過度に冷やされていないため、そのフレーバーを楽しむことができる。

2 ラガー
(1)ラガーは、ドイツやベルギーをはじめ、日本やアメリカを含め世界の大半で好まれているビール。

(2)発酵が進むにつれて酵母が液の底面に沈殿するタイプの酵母を使用する。摂氏10度前後の低温でゆっくりと発酵させ、発酵終了後も低温で熟成させて作られる。必ず冷やして提供される。

(3)イギリスにラガーが入ってきたのは20世紀になってから。

3 イギリスの近年のビール消費状況
(1)2015年では、ビール消費量のうち、ラガーが77%、ビターが23%となっており、ビターは水をあけられている。ただ、本物志向が強くなってきたせいか、近年、ビターの低落傾向に歯止めがかかりつつある。

(2)消費場所別では、2016年では家庭用が48.6%、業務用が51.4%と、業務用が家庭用をやや上回っている。(日本も、家庭用:業務用=47.5%:52.5% とほぼ同様。)

4 本物のビター
(1)本来、木製の大樽に入れたままパブの地下室に運ばれ、そこで酵母が生きたまま保管され、提供されるべきものである。

(2)こうすると、パブに運ばれてからも、酵母が生きているので、地下室の冷涼な温度の下で、ゆっくりと二次発酵が進む。しかし、管理が比較的難しく、1週間ももたないなど難点もある。

(3)このため、取り扱いしやすいアルミ製やステンレス製の小樽に入れ提供されるようになってきた。こうした簡便な容器を使用するパブが半数ほどあるという。

(4)こうした容器のビターは、酵母が濾過され取り除かれるとともに、低温殺菌され、さらに炭酸ガスが注入される。このような方法により、数か月間の保存が可能となる。こうしたビターは、パブで提供されるとしても、スーパーマーケットで売っている缶ビールと中身に変わりはなくなる。

5 リアル・エール
(1)こうしたことから、イギリスでは近年、本物のビター、リアル・エールを求める声が強くなっている。

(2)リアル・エールの条件は以下の通り。
  ① 原料は、大麦、ホップ、水、酵母のみ。
  ② パブに運ばれてからも二次発酵を続け、味と香りが引き立つようになるもの。
   (殺菌処理をしない)
  ③ 炭酸ガスを注入しない。
   (発酵に伴い生ずる炭酸ガスのみ)

6 イギリスのパブ
(1)パブでは、アルコール飲料を飲んだり、軽食を取ったりすることができる。昔からほとんどすべての町や村にあり、風情のある建物も多い。
  
(2)多くの人にとっては、パブはくつろぎ、友と語らうことができる場所であり、またパブによってはダーツやビリヤードなどのゲームも楽しめる。

(3)基本的にセルフサービスであり、カウンターで飲み物や軽食を代金引き換えで購入する

(4)パブの数は次第に少なくなっており、1982年には67,800軒あったが、2015年では50,800軒にまで減少している。イギリス人の嗜好がワインの方へ向いてきていることも、一因と考えられる。
  
パブ.jpg

7 パブでのユニークな支払い方法
(1)複数でパブに行く際の代金の分担方法が、日本とは違う。日本では、誰かがみんなにおごるか、あるいは割り勘。

(2)イギリスでは割り勘はしない。各自が別々に支払うということもない。イギリスのやり方は、例えば、5名で行って一緒に飲む場合、5名のうちの一人がまず代表して5名分を注文し、その代金全額を支払う。この注文役を順次引き受けていく。5回飲んで、ようやく全員の負担が公平になる。
  
(3)誰かがみんなにおごるという場合で日本と違うのは、転勤や退職などで職場を去る際に、去る者が職場の同僚をパブに招待し、飲み物をご馳走して、感謝の気持ちを表す。飲み物代だけであり、人数が多くてもさほど高額にならないことがこうしたことが行われる理由かと思われる。


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