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「語彙力こそが教養である」 [教育]

1477828980857-2113398996.jpg  齋藤孝さんが書いた角川新書の1冊。優れた言葉の使い方やその大切さ、あるいは習得方法を教えてくれる。年代にかかわらず読まれるべき1冊と思われる。私の経験では、時と場合に応じて適切な日本語を使うことは社会人として大変重要。単に難しい言葉を使えばよいとは思わないが、話すにしても、文章を書くにしても、言葉の品格や気持ちの込め方が予想以上の効果を発揮することが少なくない。この著者が書いているように、たゆまぬ努力が必要になる。なお、この本では著者自身が読んで役に立った本を数多くリストアップしており、読書案内にもなっている。その中で、「ミステリーの書き方」、「福翁自伝」、「スターリンのジェノサイド」など、何冊かを読んでみたいと思った。

水木しげるの「敗走記」 [昭和史]

14776108693191335795344.jpg  漫画家の水木しげるは敗色濃厚な1943年、21歳の時に軍隊に入隊。パプア・ニューギニアのニューブリテン島に派遣された。「ゲーテとの対話」を携えていたという。そこでは負傷により左手を失うなど生死をさまよう経験をしたが、奇跡的に生き延びることができ、終戦の翌年の1946年に日本へ帰還した。この本は、その時の悲惨な経験や地元民との交流などの思い出を基に創作した漫画。戦争の経験を書き綴った本は数多いが、自身の経験を基にした漫画は数少ない。

近代イギリス風景画展 [美術]

1477630304741-677075910.jpg  小金井市立はけの森美術館で開催されている、郡山私立美術館所蔵 近代イギリス風景画展「風景への視線」を見に行ってきました。美術館はJR武蔵小金井駅から歩いて15分ほどの住宅地の中にありましたが、標識が不十分で探すのにやや苦労しました。今回の美術展は、イギリスの風景画家の作品を郡山私立美術館から借りて開催したものです。コンスタブルやターナーなど、いくつかの魅力的な風景画が展示されていました。また、イギリス画家が日本を訪問した際に描いた作品も数点、展示されておりました。全体的には、見ごたえのある作品がやや少ないのでは、と感じました。

「皇居炎上」 [昭和史]

14775320300431335795344.jpg  元消防官により書かれた、太平洋戦争時の東京への空襲とその防火についての記録。その後半部分では、昭和20年5月の皇居全焼について詳細に記載している。消防官の視点からの興味あるドキュメンタリーとなっている。東京への空襲については・・・
1 日本軍は艦船ならびに航空機の大部分を失い、昭和19年には敗北が明白な状況であった。
2 日本は制空権を喪失し、サイパンや硫黄島から飛来する爆撃機や戦闘機の空襲を防ぐすべがなかった。
3 軍需に資源を取られ防火体制は崩壊していた。それにもかかわらず、政府は一般市民に対して東京から脱出することは認めず、空襲の際は火災の鎮火に努めることとされた。防火器具も不足する中、政府は「人体の六割は水分だから、何も無いときは、腹で抱えて焼夷弾を消せ」とまで言った。しかし、精神論だけで米軍の圧倒的な攻勢を防ぐことができるはずもなかった。
4 そうした中、3月10日の東京大空襲により一晩で10万人の一般市民が殺された。
5 5月26日の空襲で皇居が炎上した際には、都内の消防士が地元でも火災による被害が発生して救助要請が寄せられていたにもかかわらず、それを見捨てて、皇居へ集まることを求められた。

 著者は、圧倒的な国力の差があった米国と戦争を始めた責任、空襲への対応の失敗など、責任が検証されていないと言い、日本は「責任回避の天国」との声もあると紹介している。福島第一原発や豊洲移転問題など、今もそれは変わらない。

「人間失格」の評価 [日本文学]

1477463763331-2113398996.jpg  太宰治の「人間失格」ほど自分の負の側面をさらけ出した小説はない。人間はだれでも自分の中に好きになれない、あるいはひどく嫌う面を持っている。完璧な人間なんていないから、当たり前といえば当たり前。青春期には特にそれが「漠然とした不安」の原因となる。なぜ太宰はことさら自分の負の面に固執したのか? 富裕な家に生まれ学校の成績も良かった「いい子」が、悪ぶって見せたということであろうか。それも酒や女に溺れ、心中事件を起こすなど極端。「酒、煙草、淫売婦、それは皆、人間恐怖を、たとい一時でも、まぎらわす事の出来るずいぶんよい手段である」と言う。ここで言う「人間恐怖」とはどのようなことであろうか。「被害者意識」が強かったのではないか。「自分の孤独の匂いが、自分が(多くの女性に)つけ込まれる誘因の一つとなった」という。彼を取り巻く女性が悪かった、と言いたいのであろうか。また、「ヒラメのいやに用心深く持って廻った言い方のために、妙にこじれ、自分の生きて行く方向もまるで変ってしまった」と言う。まっとうな生活に戻るチャンスを逸した責任を他人のせいにしている。この小説はエリート意識の匂いもする。それにもかかわらず、この小説になぜ多くの人が共感するのであろうか。人間の弱さや悪をさらけ出し、どん底に落ち込む作者の姿勢に、この作者を助けたいという慈しみの情を引き出されるのであろうか。自分のすべてを投げうって書いたこの作品により,いい意味でも悪い意味でも彼は日本の文学史上で稀有な作家になったということであろう。
 
 

「暴力の人類史」 [世界史]

14774297839111335795344.jpg  著者のスティーブン・ピンカーはハーバード大学の心理学の著名な教授。本書は日本語訳で上下巻合わせ1,300ページを超える。世界の歴史をたどると、暴力による死者の数は古代、中世、近代へと進むにつれ、顕著に減少してきていることを示しており、本書ではその原因を探っている。20世紀は、2度の大戦やヒットラー、スターリン、毛沢東といった独裁者による大量虐殺などがあり、暴力による死者が決して少ないとは思えない。しかし、それだけ近代以前には支配者による圧制、他民族への侵略、些細ないさかいや宗教対立からの戦争など、暴力が日常茶飯事であったということだと考えられる。暴力による死者の数が減少してきた要因としては、教育の普及による識字率や知能の向上により、道徳や理性に目覚め、民主主義や協調ということが重視されるようになってきたことが挙げられるようだ。
 なお、暴力を正当化する悪しき一例として、太平洋戦争における米国の正当化を挙げている。米国政府は開戦当時、日本の真珠湾攻撃は卑劣は挑発行為で、甚大な損害を受けたので復讐をしなければならないと、国民に訴えた。しかし、この本の著者はその不当性を以下のように記載している。
 1 米国は石油の禁輸などにより日本を苦しめ、日本からの攻撃がありうることを予測していた。
 2 真珠湾攻撃で2,500人が死亡したが、太平洋戦争に突入したことにより10万人の米兵が死亡したほか、焼夷弾や核爆弾により日本の民間人を大量に殺戮した。

「オスは生きてるムダなのか」 [科学]

1477313337030-677075910.jpg  早稲田大学国際教養学部教授の池田清彦さんが2010年に書いた角川選書の1冊。男性・女性の決定や役割などにつき、染色体や遺伝子の違いを中心に生物全体にわたり説明しています。本の題名は刺激的ですが、生物学の最新の成果をベースにして書かれています。男性・女性がなぜそれぞれ存在し、どのような役割を果たしているのか、あるいは「死ぬ」ということがどういう意味を持つのか、などについて考えさせられる1冊になっています。例えば・・・
1 人間では子孫を残すためには男性・女性が必要だが、生物全体ではメスだけで子供ができるものも少なくない。オスはどうしても必要なものではない?
2 オスとメスによる有性生殖は、メスだけによる生殖に比べて以下のようなメリットがある。
  A 遺伝子的なバラエティが増し、環境変化に適応する力が強くなる。
  B 遺伝子の損傷を修復する機能を組み込むことができる。
3 生物は「性」と「死」を獲得することにより、多様化、高度化することができた。
4 胎児の身体が男女に分かれるのは受精後8週目あたり。脳が男女に分かれるのは14~20週ごろ。これが食い違うと性同一性障害になる。

サウジの公務員は1日1時間しか働かない [インターネット情報]

1477255757426-2113398996.jpg  CNNオンラインの記事によると、サウジアラビアの公務員は1日1時間しか働かないそうです。しかも、サウジアラビア人の労働者の70%は公務員として働いています。彼らは高給をとり、その地位はしっかりと守られています。サウジアラビアは近年、原油価格の低下により財政収支が悪化しています。このため、将来的な原油からの収入の減少に備え、民間部門の育成に取り組もうとしています。しかし、公共部門がこのような状況であれば、誰も民間部門で苦労して働きたいとは思わないでしょう。優秀な人材がいるとしても皆、公共部門を志望するはずです。民間部門は海外からの労働者により支えられる状況が続くと思われます。

子宮の移植 [インターネット情報]

1477198181939-677075910.jpg  生まれつき子宮のない女性は極めて少数ながら存在し、そういう女性にとってお腹の中で自分の子を育てるということは達しえない”夢”でしかなかった。しかし、その”夢”を現実のものとする”子宮の移植”が行われ始めている。TIME誌最新号によると、これまで世界中で20回の子宮移植が行われ、そのうち5例で正常な妊娠に至った。この9月には米国で初めての生体子宮移植が4例行われた。ただ、4例の生体移植のうち3例では移植が失敗に終わった。移植の費用は15百万円から50百万円の間と高額であるが、今までのところ実験段階ということで費用の全額を病院側が負担している。

ゴッホとゴーギャン展 [美術]

1477085727036-2113398996.jpg  上野の東京都美術館で開催されている「ゴッホとゴーギャン展」に行ってきました。ポスト印象派の巨匠の二人を同時に見ることができる貴重な機会です。画家としてのそれぞれの成長過程を作品を通して見ることができました。二人は南フランスのアルルで2か月間の共同生活をするほど親密でした。芸術に対する二人の姿勢は誠に真摯なものでしたが、それゆえか破滅の人生を歩むことになりました。ゴッホは37歳でピストル自殺をしてしまいました。ゴーギャンはタヒチなど南太平洋の島に移住し、そこで貧困と病気に悩まされながら54歳で亡くなりました。二人とも生前に評価を得ることはできませんでした。しかし、現在は作品によっては200~300億円の値がつくほど愛されています。
  会場は昨日はさほど混雑しておらずゆっくりと見て回ることができました。それにしても同じ美術館で開催された若冲展は異常な混雑でしたね。若冲の作品の常設展示を強く望みたいと思います。
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