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「ジプシー」 [世界史]

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  白水社の文庫クセジュの一冊。2007年11月刊。
  著者は、社会学を専門とするフランスのニコル・マルティネスさん。

1 ジプシーとは
(1)かって農村地帯の村から村を、また町から町を、こんにちでは都市の周縁部や都心のスラムに定住することの多いヨーロッパの遊動民。

(2)同じ文化を持つ、同じ起源の人間集団ということではない。

(3)英語圏では現在、一般に「ジプシー」と呼ばれている遊牧民は、当初はエジプト人と呼ばれていた。1530年に制定された、イギリスで最初のジプシー弾圧法は「エジプト人と自称するよそ者に関する法律」と題されていた。

(4)かっては、ジプシーはインドを起源とする共通の言語を使っているといわれていたが、現在は否定されている。ジプシーは言語的あるいは人種的に共通なのではなく、定住している社会の主流の人たちから排除された、周縁に生きるというのが共通項である、と現在は考えられている。そういう意味では日本の「サンカ」も同じである。

(5)彼らの特徴として言われてきたのは・・・
   ・「決まった住居がない」、「はっきりした職業がない」
   ・大人数で住む粗末な小屋、識字率の低さ、不健康

2 ジプシーの人口の推計
(1)定義が明確ではないので、人口の把握も難しい。

(2)1990年代の推計によると、ジプシーが多い国は・・・
     ルーマニア  141~250万人 (総人口の6~10%)
     スペイン   70~80万人  ( 同  1~2%)
     ハンガリー  55~80万人  ( 同  5~7%)
     ブルガリア  50~80万人  ( 同  5~9%)

3 生活の実態
(1)極端な早婚や避妊をしないことにより、多産である。1家族当たり4人から8人の子供がいる。多くの女性が13歳か14歳で最初の子をもうける。未熟児が多く、新生児は非常に小さい。
  
(2)平均寿命は短い。老けて見える外見にかかわらず、60歳を超える人はごく少数である。理由は・・・
   ・非衛生的な住居様式による結核
   ・過密人口や無きに等しい衛生施設
   ・栄養不良、バランスに欠けた食事
   ・でんぷん質や脂肪質を好むための肥満
   ・過度の飲酒、若年層からの喫煙
   ・挫折感やトラウマなどの精神状態
   ・無気力や引きこもり

4 ジプシーへの対応
   いろいろな考えがある。
   ・定住社会への同化については否定する。同化は彼らの消滅の第一歩となるから。
   ・遊動生活を維持するため、キャラバン停留地の確保が必要
   ・読み書きもできなければ手仕事もできないという無知と無教育から抜け出すため、学校教育や職業教育を受けさせる

<以下は創元社 知の再発見双書「ジプシーの謎」から>
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