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北朝鮮に店舗を作ったMINISO(メイソウ、名創優品) [現代社会]

MINISO 北朝鮮開設.jpg 
<MINISO平壌店の開設を祝う>

  *イギリスの経済週刊誌「ECONOMIST」に拠る。

 安価な生活雑貨を販売するMINISOが、本年4月、北朝鮮の平壌にチェーン店を開設した。
 MINISOの平壌店は、MINISOと北朝鮮の国営企業との合弁企業により運営される。
 北朝鮮にとっては、これが初めての外国ブランドのチェーン店となる。
 店舗は高層マンションが集まっている地域にある。


 MINISOは、中国でファッション雑貨販売店を経営している葉国富と、日本のデザイナー三宅順也氏との共同出資で設立された。
 2013年、中国の広州市に最初の店舗を開設した後、現在までに50か国以上に1,800以上の店舗を持つまでになっている。2016年の販売額は、前年の2倍の15億ドル(1,650億円)に達している。

 MINISOは世界中に200名以上のバイヤーを送り、新しいアイデアの発掘に努めており、毎週、新たな商品が陳列棚を飾っている。価格はどんなに高くても40ドル(4,400円)を超えることはない。

 MINISOは、100円ショップのダイソー、ユニクロ、そして無印良品の融合だといわれる。

 アジアの消費者が日本の商品の「かわいい」ところに魅かれていることから、MINISOは意図的に日本的なところをPRしているとの批判もある。MINISOは東京発祥と言っているが、日本には4店舗しかなく、一方、中国には1,000以上の店舗がある。

 MINISOの平壌店は、同国の特権階級の人々の人気を集めているようだ。おもちゃ、化粧品あるいは安物の室内装飾品が2ドルから10ドルで(220円から1,100円で)売られている。価格は北朝鮮の通貨ウオンで表示されている。しかし、購入するときにはドル、ユーロまたは人民元で支払わなければならない。当局自身、北朝鮮のウオンは価値がないことを承知している。

 しかし、北朝鮮は外国資本にとり容易なマーケットではない。2008年に合弁企業を作り、同国で初めての3G携帯電話ネットワークを作ったエジプトの会社は、まだ利益を少しも本国に送金できていない。そのうえ、2015年には北朝鮮自身が第二の携帯電話会社を作った。

 * 商品内容はダイソーに、ロゴマークはユニクロに似ている。
   中国の経営者が、日本の企業であるかの様な印象を持たせるため、日本のデザイナーを引き込み、言いわけ程度の店舗を日本に開設。
   実際には、中国やその他の国で急速に多店舗展開している中国企業のようだ。
 
<MINISOの店舗>
MINISO.png

<MINISOの店内>
MINISO店舗内.png

「ルポ 保育崩壊」 [現代社会]

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  岩波新書の一冊。2015年4月刊。
  著者は、フリージャーナリストの小林美希さん。

  保育の現場の厳しい状況を訴える。

1 保育所がまるで足りない。
(1)「専業主婦世帯:共働き世帯」の比率は、1980年では「64:36」と専業主婦の方が多かったが、2013年には「41:59」と逆転して、共働き世代の方が多くなっている。この結果、保育所の需要が増大している。
   
(2)未就学児の育児をしている就業者で、25~44歳の女性は310万人いる。一方、保育所利用児童数は226万人。待機児童数は数万人とされているが、それは表面的な数字で、実際にはもっと多い。

2 保育の現場は崩壊しつつある。
(1)待機児童が社会問題となってきていることから、国は待機児童解消に向けて、以下のような背策を実施している。
    ・小規模保育施設の新設
    ・認定こども園制度
    ・民間企業の参入促進

(2)こうしたなか、保育の現場の崩壊が進行している。こうした施策により、なぜ保育の質が低下するのだろうか。また、なぜ多くの保育士が疲弊し、辞めていくのだろうか。

(3)その根本的な原因は、この国が保育についてきちんと予算を投じていないことにある。
   保育に対する予算は2015年度で、国と地方合わせて4,844億円であるが、この金額が不十分であることは、現場の状況を見れば明らかだ。
   国は、一定の保育水準を維持することができるような予算をつけるべきだ。

(4)保育所の数ばかりが注目されてきたが、その背後で起こっている保育の質について、もっと目を向けるべきだ。

3 保育所のブラック企業化
(1)保育所の運営経費では、本来は人件費が8割ほど占めるため、剰余を生み出そうとすれば人件費に手をつけるしかない。すると保育士の人数は最低基準ぎりぎりとなり、かつ非正規雇用化が進む。かつ、残業代も未払いになり、「ブラック企業」と化してしまう。

(2)保育の現場では、急激に保育士の非正規雇用化、定員の弾力化、労働時間の長時間化が進み、一人当たりの負担が増しているのが実情だ。

(3)母親の労働時間の長期化が影響して、保育所で子供を預かる時間帯の長期化も進行しており、保育士への負担が増している。
 
  * 1998年と2012年の比較では・・
     預かる時間  11~12時間  26.5%から63.4%へ
            12時間超    2.1%から12.2%へ

(4)北海道労働局が2014年に公表した資料によると、保育施設における法令違反の上位3項目は・・・
 ① 法定労働時間に関する事項
 ② 労働条件の明示に関する事項
 ③ 時間外労働等に関する割増賃金に関する事項

  労働時間や、残業代に関して、問題が多い。

4 長く勤められない環境
(1)長年勤めてきた、経験豊富な中高年の保育士は、コストが余計にかかるため好まれない。このため、保育士は20~30代が6割を占める若者の職場となっている。極端に中堅層が少ない状態になっている。

(2)保育士は、いろいろな先輩と後輩がいる多様な保育感がある中で成長していくことが重要だ。そのためにも、長く勤められる労働条件や労働環境がなければならない、

(3)希望に満ちて保育士になっても、労働環境の悪さで辞めるか、その環境にならされてしまい本来の保育ができなくなっていくか、いずれかになってしまっている。

5 保育士の低賃金
(1)自治労の2012年の調べでは、全国の保育士の52.9%が臨時・非常勤職員。雇い入れ時の時給は925円。月給についても、45.3%が14万円以上16万円未満。77%は昇給制度がない。

(2)横浜市内の保育所の調査では、株式会社の運営する保育所の保育士の賃金が特に悪い。

   2011年度の人件費率をみると・・ 
       社会福祉法人 70.7%
       株式会社   53.2%
       (最多の保育園を持つA社は42.2%)    
   大手の保育所チェーンほど、保育士に対する賃金を切り詰めているのが分かる。
   A社の常勤職員の年収は220~230万円。退職金未計上。 
 

「人口と日本経済」 [現代社会]

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  中公新書の一冊。2016年8月刊。
  著者は、マクロ経済学専門の吉川洋さん。

  日本は今後、人口減少が進み、経済は衰退し、地方は消滅するのか。

1 日本の人口減少の諸問題
(1)少子高齢化
    65歳以上の高齢者が日本の人口全体に占める比率は、2013年25%、2030年32%、2060年40%へと上昇する、その分、現役世代が高齢者を支える負担が増大する。

    少子化により現役世代が減り、高齢化により高齢者が増えて行けば、社会保障の給付が膨らむ一方で、それを支える財源は先細りになる。不足分は国の財政が補てんしなければならないが、それが「財政赤字」というもう一つの問題の悪化をもたらす。

(2)財政破綻の危機
    2016年度末の日本の国の長期債務残高は838兆円とGDP対比161%に達している。EUは参加国にこの比率を60%以下とするよう義務付けており、161%がいかに異常かが分かる。

    これまでの財政悪化の要因は、歳入が伸び悩む中で、歳出が社会保障関係費を中心に増大したことによる。今後とも社会保障関係費は高齢化の進展に伴いさらに増大する。

    問題を解決していくためには、歳出の伸びを抑制する一方、歳入増(増税)が必要であることは自明である。EUでは、加盟国に消費税(付加価値税)最低15%というルールを課している。

   * 現実を直視せず、問題を先送りして後の世代にそのツケをまわすやり方を日本はしている。

(3)地方への影響
    これまでも地方から都市への人口流出が生じていたが、今後とも同じペースで人口流出が続き、かつ出生率が現状の1.41とあまり変わらないとすると、市町村の約50%は、2040年にかけて若年女性の人口が現在の5割以下となる。また、約3割の市町村は2040年には1万人を切る。

   * そうした地域では、北海道の夕張市に見られたように、財政収支が悪化し、公共サービスの質が低下し、それが人口流出に拍車をかける可能性が強い。

2 解決策はないのか
(1)社会全体で子育て支援をすることの必要性
  まず、人口の減少を食い止める策を講ずるべきだ。
  スウェーデンの経済学者、ミュルダールは1930年代に、「減少する人口を放置するのは誤りである」と強く訴えた。

  「子供の数が減れば、一人当たりの所得は上昇する。それだけ豊かになったとみえるかもしれない。しかし、その結果、国全体で人口が減少していくと、それは社会全体の人々の生活水準に対しては絶対的な悪影響を与える。」

  産児制限が個人にもたらす利益と、社会全体の利益は同じではない。
  出産や、子育てについて、それぞれの家庭の負担から、社会全体で負担する制度へ転換しなければならない。

  今から80年も前に発表された、ミュルダールの「子育て支援策」は、スウェーデンのその後の経済政策に大きな影響を与えた。
 (保育園の100%充足、所得や子供数に応じた保育料負担の上限設定など)

(2)高めの経済成長を目指すべき
   経済成長は、新たな雇用を生み出し、歳入の増加にもつながる。
   
  A 人口が減少する中で、経済成長は可能か
    経済成長を決めるのは人口だけではない。
    明治の初めから今日までの日本を見ると、経済成長と人口はほとんど関係ないと言っていいほど両者はかい離している。

    経済成長の主因は、労働生産性の向上である。
    労働生産性の向上は、技術進歩に伴う、新しい設備や機械の投入によってもたらされた。
    また、生産性の低かった第一次産業から、第二次産業、第三次産業へとシフトしてきたことも大きい。

    第一次産業からのシフトを今後とも続けることは難しいが、今後とも労働生産性を向上させることができれば、経済を成長させることができる。

    ただ、日本の企業は現状では、投資に消極的だ。日本全体の貯蓄と投資の状況を見ると、かっての高度成長期では家計が貯蓄をし、企業は借金をして投資をしていた。しかし、いまや企業は家計をしのぎ、最大の貯蓄主体となってしまっている。

  B AI(人工知能)のようなIT(情報技術)の進展はどのような影響をもたらすか
   AIやITの進展は、一部の労働に対する需要の減少をもたらす。
   (工場や事務作業など)

   しかし同時に、労働生産性の上昇をもたらし、人々を豊かにする。
   賃金など労働によって得る所得の比率が低下し、設備を所有することにより得る所得の比率が上昇する。このため、社会の経済格差が拡大するという考えもある。

「被告の背中 記者が迫った法廷ひと模様」 [現代社会]

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  東京新聞社会部編。東京新聞出版局刊。
  記者が法廷で見た人間模様を描く。

1 古本売りで五度摘発された男
  被告はJR新宿駅前の歩道で古雑誌を売り、道路交通法違反容疑(道路の無許可使用)で現行犯逮捕された。同じ罪ですでに五度捕まっている。

  ホームレス仲間が拾って集めてきた漫画や週刊誌を路上で売る。これで自分もホームレス仲間も食つなぐことができる。「懲役三か月」の判決だった。裁判官は、他の仕事を見つけるように、と言うが。

2 献身的な介護の末に
  79歳の夫は肝臓がんで入院したあと、退院して自宅に戻ったが寝たきり。流動食さえ食べられなくなっていた。自分も腰痛などで、ベッドから落ちた夫をベッドに戻すこともできず、また、夫の着替えも満足にできなくなっていた。

  「二人で死ぬしかない」と思い、夫の首を絞め、自分も死のうとしたが死にきれなかった。判決は、「懲役三年、執行猶予五年」という寛大なものであった。

3 産院取り違え訴訟
  父はO型、母はB型なのに自分はA型。親子関係に疑問を持ち、DNA鑑定の結果、親子ではないことが判明。本当の親のことが知りたくて、東京都や区役所に調査を依頼するが、古いことで調べようがないとの返事ばかり。母親も実の子のことを知りたがった。

  損害賠償訴訟を起こし、判決は、東京都の責任を認め、2千万円の支払いを命じた。しかし、東京都から間違えた相手を探すための協力は得られず、依然として分からないまま。

4 振り込め詐欺事件
  電話をかけ相手をだます役をして、半年間で4,500万円をだまし取った。自分はそのうち1,500万円を受け取ったが、1年半後に逮捕された。その数日後に、それまであまり心を通じ合うことのなかった父親が面会に来て、自分に優しい言葉をかけ、涙を流してくれた。

  泣いてまで自分のことを心配してくれる父の姿を見て、自分はそういう親が子を思う気持ちを利用してしまった、と気がついた。判決は懲役2年2か月の実刑だった。

5 偽札偽造の元大学生
  27歳の無職の男性が、パソコンで印刷して作った偽造1万円札3枚をもって繁華街を歩いている途中で、職務質問してきた警官に偽札を見つけられ、通貨偽造容疑で逮捕された。偽札は裏表が上下逆の稚拙なもの。

  しかし、通貨偽造は「無期または3年以上の有期懲役」の大罪。判決は「懲役3年、執行猶予5年」という寛大なもの。偽札が粗雑なもので、まだ使われてもいなかったことが考慮された。

6 図工教諭殺人事件
  足立区の小学校に勤めていた女性教諭が突然いなくなった。家族が捜索願を出したが、行方は分からなかった。しかし、それから26年後、当時、同じ学校に警備員として勤務していた男が自首してきた。その男の自供により、自宅床下から白骨死体が見つかった。

  時効が完成しており、刑事責任を問えないことを知っての自首だった。家族はその男と足立区に対して損害賠償の訴訟を起こした。足立区は2,500万円を支払うことで和解した。その男は和解に応じなかったが、4,200万円の支払いを命じる判決が下った。

7 ひき逃げ犯にされて
  28歳の男性が、重症ひき逃げ犯の容疑者として逮捕された。その男性は全く身に覚えがなく、無実を訴えた。真犯人は逮捕された男性の二人の友人だった。二人は事故現場の近くのコンビニで逮捕された男性と別れた後、車で人をはね、逃げていた。二人は逮捕された男性が運転していたと主張し、裁判でもそのように証言した。

  しかし、結局、その二人が真犯人であることが分かり、逮捕された男性は無罪放免となった。拘置されていた期間は10か月に及んでいた。警察も検察も二人のウソを見抜けなかった。

「東大留学生ディオンが見たニッポン」 [現代社会]

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  岩波ジュニア新書の一冊。2017年4月刊。
  著者のディオン・ン・ジェ・ティンさんは中華系シンガポール人で、シンガポールの高校を卒業後、東大に留学している。
  日本語は中学の頃から6年間勉強していた。

  日本人と同じように話をできるようになりたいという気持ちで取り組んでいる、日本語との苦闘や、異文化から来て日本の大学や学生について感じていることを率直に書いている。

  グローバル化する世界における日本の教育の在り方について考えさせられる。

1 日本に来て驚いた点や特徴的なこと
(1)商店街の道路が狭く、歩道もなくて、車に轢かれそうな気がした。車の運転手さんは事故を起こさないように慎重に運転しているみたいだけれども。

(2)区役所や銀行で手続きをするための書類や、そういうところから送ってくる書類はなかなか理解できない。英語のものも作るなど、外国から来た人にも分かりやすいものにした方がよい。

(3)外見を大事にする。
    日本では、近くのコンビニに行くときも、服装はもちろん化粧もしっかりとする。すっぴんで、家庭着とスリッパで出かけることが許される母国とは対照的。

(4)「先輩」、「後輩」の序列が明確。
    海外では、学校と職場の環境ではヒエラルキーに縛られることは考えられない。アジア系の場合、家庭における堅い上下関係があるが、家庭から離れると日本ほどのヒエラルキーはなかなか見つからない。


2 留学生同士の会話と、日本人との会話との差異
(1)日本人と話す際には、話題が決まりきったものに限られる傾向がある。国の文化の違い、気候、相手の特徴についての評価など。知り合って仲良くなった友達も、自分からそれ以上、話を広げようとしない。また、周りと違う自分の意見を言うと、気まずさと違和感を感じてしまう。

(2)留学生同士の場合、人それぞれ違うバックグラウンドと趣味があり、いきなり自分が聞いたり考えたりしたことのない話題が出てきても、その新しい話題に即興で自分の意見を言うようにして、会話を続ける。また、自分の意見や気持ちをはっきりと言葉にしやすい。

3 日常生活において感じること
(1)銀行などで、白人に対する応対と自分のような東アジア系の人に対する応対が明らかに違う。

(2)「日本語お上手ですね」といわれるが、その言葉の背後には日本語がそもそも日本人専用の言葉であるという考えがある。しかし、ノンネイティブが話す日本語も存在するということを認めることにより、外国人とのコミュニケーションがよりスムーズに、誤解を招かずに行えるのではないかと思う。

4 日本語の難しさ
(1)ものを借りた際に「これは私物です」といわれたが、その背後に「だから、使い終わったらすぐに私に返してください」というニュアンスが込められているということを理解できず、返すのが遅れてしまった。

(2)本音、建前、お世辞、社交辞令を区別する。
    「日本語、お上手ですね」
    「また遊びに来てね」 
    「ぜひ、また誘ってください」などの社交辞令。

(3)会話に関する文化の違い
    海外: なるべく自分の素直な一面を見せながら、食い違っている意見について話し合い、議論することによって妥協点に辿り着く。
    日本: 会話の参加者の間の平和を守り、衝突を招かずに済むことを最優先にする。

(4)先輩と会話するときにはちゃんと丁寧語で話さないといけないが、同級生とはタメ口で話すのが普通なので、その間の切り替えとしゃべり方への気遣いが難しい。

5 日本人の語学に対する取り組み
(1)日本の大学生は、中学、高校と6年間英語を勉強したのに、自分たち外国人と英語で話をしようとしない。英会話を練習するせっかくの機会なのに、とてももったいない。

(2)シンガポールでは、外国語の授業は英語なら英語でというように、最初からそれぞれの国の言葉を先生は使う。シンガポールで日本語を習った時も、教科書は日本語とイラストのみ。しかし、日本では英語を日本語で教えている。また、発音に対する指導にあまり力を入れていない。

(3)日本の大学は、第二外国語を必修にしているが、その必要があるのだろうか。いろいろな外国語を学ぶことは、視野を広げ、世界観を身につける良い機会となる。しかし、語学に興味がない、
6年間勉強してきた英語も不十分なままの人たちには苦痛以外の何物でもない。より学生のニーズに合わせた見直しが必要と思われる。

6 日本の学生に期待すること
(1)もっともっと海外に留学して異文化を経験してもらいたい。まだ、日本以外の文化、国、人に興味を持たない学生が恐ろしいほど多い。

(2)日本人は異端発言が少ない。まわりのみんなと違う発言を言い出すことには勇気が必要。なかま外れにされたくないという気持ちもある。しかし、その解決方法は、発言を避けることではなく、どうやって他人の気持ちに配慮し、傷つけないようにしながら自分の意見を言うかにある、人それぞれ違うという多様性を受け入れる気持ちが広がってほしい。



「貧困と闘う知」 [現代社会]

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  2017年2月、みすず書房刊。
  著者は、米MIT経済学部助教のエステル・デュフロさん。

  途上国の貧困問題を、教育医療金融、ガバナンスの点から分析する。

1 教育
(1)女子教育は、乳幼児と妊産婦の死亡率を引き下げ、彼女たちが将来産む子供たちの教育水準を、男の子についても女の子についても高める。

(2)教育を受けた者は、自分自身がもっと生産的になるというだけでなく、新しいアイデアの採用を促進したり、現存する資源のより良い利用を擁護したりすることによって、周りの人たちをさらに有能にしていく。

(3)子供たちを学校に入学させるだけではなく、欠席率を低下させることが重要だ。インドでは欠席率が都市部で15~25%、農村部では50%前後にまで達する。

(4)欠席率を低下させるためには、従来からの無償の制服や奨学金の支給に加え、親への教育の利益に関する情報の提供や、寄生虫の根絶のための投薬が、少ない費用で大きな効果を期待できる。
  (寄生虫の感染により体力を奪われ、学校に通えない子が多い)

(5)教育を与える側の問題もある。教員のモチベーションを高める努力も重要である。
   ① ケニアでは英語の教科書が与えられるが、英語を理解できる子供は少なく、また、親はほとんど英語を話さない。

   ② 教員の意識が低い。インドでは、不意打ち調査の際に教壇に立っていた教員は半分以下だった。

2 健康
(1)インドの農村部での調査によると、村人の健康状態は良くなかった。33%で発熱の、23%で腹痛の症状があった。また、約90%で栄養不良、50%強で貧血であった。

(2)そうした地区の医療機関に従事してる医師の44%は医療資格を有しておらず、そのうち14%は医療にかかわる訓練を受けたことがなかった。彼らは、診察を受ける患者の68%に抗生剤の注射を、12%に点滴を行う。このような過剰な治療の方が人気があり、適正な治療を行う保健センターの方は人気がない。

(3)予防ケアの面では、幼児に対するワクチン接種率の低さ、エイズ検査に対する消極的な姿勢が問題となる。ワクチン接種は、効果に対する理解不足あるいは副作用の恐れが影響し、エイズ検査については、陽性となることを恐れる。

3 金融
(1)小規模事業者に対する少額の融資である、マイクロクレジットが貧困に対する有効なツールとなっている。貧しい人々に施しを与えるのではなく、起業家精神を刺激して、自律的に貧困から抜け出すことを促す。

(2)マイクロクレジットを発展させたインドのグラミン銀行は、自己の収支をプラスにして制度を自立させ、かつ顧客が貧困から抜け出す手伝いをすることに成功した。

(3)しかし、金利の高さ、顧客が抱え込む累積債務、全く改善しない日常生活などを批判する声もある。

(4)マイクロクレジットの標準的なモデルは以下の通り。
  ① 貸付の対象は女性だけ。
  ② 顧客は1年にわたって週ごとに、元本の一部を返済し、金利を支払う。
  ③ 顧客は5~10人のグループを作り、返済は連帯責任となる。
  ④ グループのメンバーは返済日ごとに集まる。
  ⑤ 金利は少なくとも20%、最高で100%。

4 ガヴァナンス
(1)汚職の事例としては・・
  ① インドでは警察官が訴えを受け付ける際に金品を要求する。このため、3分の2以上の事例で、犯罪の被害者は警察に届け出ることさえしなかった。訴えを届け出た場合でも、その3分の1は届け出が記録されていなかった。警察官は未解決事件の数によって評価されるので、新しい犯罪を記録することを望まなかった。

  ② インドネシアでは道路に検問所を設置して、警察官が運転手にわいろを要求する。

  ③ インドネシアのある調査では、道路建設のために支出された費用の4分の1が横領されていた。資材の4分の1弱が盗まれ、支払ったことになっている労賃の27%が実際には支払われていなかった。

(2)汚職と闘う方法は・・
  ① 「上から」の監督
       会計監査、行政による監督
  ① 「下から」の監督
       利用者による監視

(3)ブラジルでは、60の自治体が毎月ランダムに選ばれ、監査を受ける。監査の結果はマスメディアに伝達され、インターネットで拡散され、地元のメディアでコメントされる。これらの情報は選挙結果に実際に影響を与える。

「中国のフロンティア」 [現代社会]

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  岩波新書の一冊。2017年3月刊。
  著者は東京大学大学院教授の川島真さん(中国近現代史専攻)。

  近年における中国と、アフリカ東南アジアなどとの関係の実情を描く。

1 中国からザンビアへの農業移民
    ザンビアには中国人の経営する農場が20以上、存在する。
    規模はそれぞれ100~120ヘクタールと大きい。

    援助プロジェクトなどですでにアフリカに来ていた人がおり、そうした人々を頼って中国の農民が移民し、そこで農業を営むことで富と成功を得る、という構図ができている。

2 広州のアフリカ人街
    広州市を含む珠光デルタ地帯には、数万のアフリカ人が居住しているとみられる。
    多くは、ここで生産される商品を買い付け、アフリカに送っている小貿易商、あるいは運送業者。
    取扱商品は服飾品や靴など。

    中国当局はビザの更新を厳しくしているため、不法滞在となっているものも多く、収監される例も増えている。
    これに対して、例えばナイジェリア政府は不法滞在の中国人を逮捕するなど、報復措置を取っているところもある。

3 中国政府の広報誌「非洲(アフリカ)」
   様々なトピックスが掲載されている。例えば・・
   ① アルジェリアで受注した70億ドルの高速道路工事は、予定より早く完成した。一方、日本が受注した部分は工期の遅れや赤字発生に悩まされていた。

   ② 中国から粗悪品やコピー商品が輸出されているのは問題だ。「1週間靴」、「3か月スカート」などと呼ばれている。

4 マラウイ
   アフリカ南部の内陸国、マラウイは2007年12月、台湾との国交を断絶し、中国との国交を樹立した。
   マラウイは、台湾を中国として認めて外交関係を有する数少ない国であった。台湾もこの関係を持続するためマラウイに各種の支援を続けていた。しかし、マラウイは中華人民共和国からの60億ドル(6,600億円)という巨額支援の提案に屈することとなった。

5 ミャンマー
   1980年代後半にミャンマーに軍事政権ができ、その後、中国とミャンマーは急接近した。
   1990年代後半以降、中国政府はミャンマーの資源開発、パイプライン建設、港湾施設の建設など、積極的な協力を行った。
   しかし、2011年、ミャンマーはミャンマー北部で、中国と共同で建設することを計画していた水力発電用ダムの開発中止を決定した。


  * 中国の海外進出における今後の問題
   ① 日本を含む、領土、領海問題で対立するアジア諸国との関係
       今後とも経済力と軍事力に頼る対外姿勢を取り続けるのか。

   ② 他国への経済支援が、その国の人々の役に立っているか。
       北朝鮮の独裁政権やミャンマーの軍事政権、あるいはカンボジアのポルポト政権への支援に見られるように、自国の利益につながるのであれば、相手国の人々の利益に反してでも経済支援を行ってきた。 

   ③ 国内に困窮農民を多く抱えながら、対外的に巨額の支援を続けることが持続可能なのか。  
   

「偽りの経済政策 格差と停滞のアベノミクス」 [現代社会]

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  岩波新書の一冊。2017年5月刊。
  著者は同志社大学教授の服部茂幸さん。

1 アベノミクスと異次元金融緩和
(1)2012年12月に就任した安倍首相は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢により、デフレを解消し、経済を成長軌道に乗せるという、いわゆるアベノミクスを提唱した。

(2)その方向に沿って、2013年3月に就任した日銀の黒田総裁と岩田副総裁は、大量の国債購入を軸とする異次元金融緩和を実施した。彼らは、デフレ状態にあるのはそれまでの金融政策が誤っていたためと痛烈に批判し、自分たちはインフレ率を2%に引き上げることができると約束した。

(3)しかし、その後4年が経過しているが、アベノミクスや異次元金融緩和の効果は出ていない。
    ・2017年3月の消費者物価指数は前年同月比0.2%しか伸びていない。
    ・2016年度の実質経済成長率は前年比1.3%増と、安倍首相が約束した2%の目標を下回っている。

2 停滞する日本経済
(1)アベノミクスが実施されている期間の実質経済成長率は平均して1.1%と低い。リーマンショック時を除くと、2000~07年は1.5%、2010~12年も1.8%であった。

(2)アベノミクス実施前に、経済は回復し、ほぼ完全雇用が実現していた。完全雇用状態にあるため、経済成長の余力がなくなり、現在の低成長が生じている。

3 異次元金融緩和の効果が少なかった理由
(1)急激に円安になったが、それが輸出を増加させず、逆に輸入を増加させた。

(2)金利は低下したが、空き家大国の日本では、住宅建設はさほど増加しなかった。

(3)利益が急増した企業は、需要が停滞する中では設備投資を増加させず、内部留保を増やした。

(4)株価は上昇したが、日本の家計の株式保有は少ないので効果は大きくない。

(5)円安によるインフレにより、家計の実質賃金と実質可処分所得が減少した。これに節約志向が加わり、消費が停滞した。

4 労働生産性
(1)現役世代人口は2001年以降、一貫して減少してる。労働供給が減少するこれからの日本では、労働生産性の上昇なくして、経済成長は不可能である。しかし、労働生産性上昇率は低下してきており、中長期的には経済成長が見込めないということを意味する。

(2)なぜ、労働生産性上昇率は低下してきているのだろうか。要因として考えられるのは・・
  ① 労働生産性の高い製造業や建設業で雇用が減少しており、労働生産性の低い医療や介護で雇用が拡大している。

  ② 男性正規社員の雇用が減少し、老人、女性、非正規の雇用が拡大している。

(3)労働生産性上昇率が低迷している状況では、中長期的に実質賃金を引き上げていくことは難しい。

5 広がる格差
(1)物価の上昇に給与が追いつかず、多くの国民の生活は改善していない。世論調査でも景気の回復の実感がないという回答が多くを占めている。

(2)一方、富裕層はアベノミクスによる株価上昇により、保有資産を増やした。純金融資産1億円を超える世帯は、2011年の81万世帯から、2015年には122万世帯に増加した。


  * アベノミクスの結果、国の債務がさらに増え、日銀のバランスシートも著しく悪化し、異次元金融緩和からの離脱が困難になっている。ハイパーインフレのリスクが高まっていると言える。しかし、本書の著者は、黒田、岩田といった日銀首脳の批判に熱心ではあるが、アベノミクスや異次元金融緩和が残した負の遺産が今後の日本に及ぼす深刻な影響について触れていないのは残念。

「アメリカと中国」 [現代社会]

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  著者はフリージャーナリストの松尾文夫さん。
  岩波書店から2017年1月に出版された。

  近現代におけるアメリカ中国との関係を探る。

1 米中貿易の始まり
(1)18世紀初頭から、中国での「お茶を飲む」という習慣が、ヨーロッパやアメリカの上流階級に浸透するようになった。しかし、アメリカではイギリスの法律により、直接中国からお茶を買い付けることができず、イギリス経由で買わざるを得なかった。この仕組みへの反発が1773年のボストン茶会事件であり、1783年のアメリカ独立へとつながった。

(2)その翌年の1784年には米国船が今の広東省広州に現れた。それ以来、両国間の貿易が盛んにおこなわれるようになった。アメリカ産の朝鮮人参は中国で大変な人気となった。朝鮮人参は朝鮮半島で自生し、万能薬として古くから珍重されてきたが、アメリカ大陸でも自生していた。中国からはお茶がアメリカへ直接、輸出されるようになった。

2 アヘン戦争とブリッジマン
(1)1839年、清の林則徐はイギリス船に積まれていた密輸アヘン2万箱を破棄する。イギリスはこれに猛反発し、イギリス大艦隊を派遣してアヘン戦争を引き起こし、香港割譲をはじめとする各種の権益を勝ち取った。

(2)アメリカからやってきたプロテスタント宣教師ブリッジマンは、アヘンの禁輸を支持した。清朝政府もこれを歓迎した。

(3)ブリッジマンは中国語でアメリカの地理、歴史、政治などを紹介した書物を書き、これが「海国図志」という世界ヵ国の現勢を紹介した書物に、そのまま取り入れられた。「海国図志」は1847年に中国で出版されされ、幕末の日本にも伝えられ、多くの刺激を与えた。

(4)アヘン戦争敗北ののち。清朝政府はイギリスとの戦争に勝って独立を勝ち取った国としてアメリカを評価するようになる。

3 中国人のアメリカへの移民
(1)19世紀中頃より、中国人のアメリカへの移民が活発化した。カリフォルニア州の全労働者の25%を中国人が占めるようになり、1869年に開通したアメリカ大陸横断鉄道の工事も中国人労働者に拠るところが大きかった。

(2)しかし、1880年代に入ると、中国人の低賃金労働が白人労働者の失業をもたらすとの反発が強くなり、中国人に対する迫害、暴行事件が太平洋沿岸地帯で頻発した。

4 アメリカによる学校の設立
(1)アメリカは中国での学校の設立に力を入れた。例えば・・・
   ① 「中国のエール教会」による長沙での学校と病院の建設
   ② 義和団事件による中国からアメリカへの賠償金の一部を使った、アメリカへの留学生派遣事業の開始と、そのための英語予備校の建設。これが、後の精華大学に発展し、習近平など中国のリーダーを輩出することになった。
   ③ 北京大学も、アメリカの宣教師によって建てられた小学校からスタートしている。

(2)日清、日露の戦争後は、中国から日本への留学生が多かったが、それが次第にアメリカへの留学生が増え、日本への留学生は減少していくことになる。

5 毛沢東とエドガー・スノー
(1)エドガー・スノーというアメリカ人ジャーナリストが1936年に、中国共産党の解放区があった中国の延安に3か月間滞在し、毛沢東との長時間インタビューを行った。そのインタビューに基づき、翌年、「中国の赤い星」という本をイギリスやアメリカで出版した。

(2)この本は、「毛沢東の中国」の存在を世界にPRするとともに、日中戦争の「国際化」に貢献した。日本軍を大陸の奥深くに引き込みながら、アメリカを日本との戦争に巻き込むという中国の戦略に寄与することになった。

(3)毛沢東はまた、長沙にいて、「中国のエール教会」が建設した中学や医院の存在を身近に感じて育った。

(4)それに対して、蒋介石は日本に留学した後も、何度も日本を訪問しており、アメリカよりは日本の方が距離は短かった。

6 蒋介石の戦略
(1)しかし、蒋介石は、日本との戦争が激化する中で、日本に勝つためにはアメリカなどの列強を巻き込んで、戦争の国際化を実現するしかない、と考えるようになった。

(2)蒋介石がアメリカとの外交を進めるうえでカギを握ったのが、三度目の妻として迎えた宋美齢であった。彼女は新興財閥の宗家の三女で、アメリカ東部の名門ウェズリー大学を卒業していた。アメリカの支配層にコネを持ち、蒋介石のためにアメリカから莫大な援助を引き出し、アメリカの世論対策、議会対策などで手腕を発揮した。

(3)1941年12月、日本は真珠湾を攻撃しアメリカとの戦争に踏み切るが、蒋介石は翌年元旦に、「日本は一時の興奮を得ることは出来るが、結局は自滅の道を辿る」と述べ、アメリカを引き込んだ長期戦での勝利に強い自信を示した。

7 アメリカの裏切り行為
(1)中国を支え続けたように見えるアメリカも、一方では自国の国益のために、中国の利益にならない政策を採用することもあった。

(2)アメリカが1899年、列強各国に示した「中国のすべての領土保全、ならびに通商上の機会均等」という政策は、実際には列強による中国の分割支配を黙認するものであった。

(3)1905年に日本とアメリカの間で締結した桂・タフト協定によって、日本の韓国併合とアメリカによるフィリピン領有を相互に承認することになり、日本に中国侵略のきっかけを与えることになった。

(4)対日戦略を協議した、1945年2月のヤルタ会談では、蒋介石を外し、アメリカ、イギリス、ソ連の三ヵ国のみで、ソ連軍の対日参戦が決められた。その結果として、ソ連軍が日本軍から接収した武器が中国共産党軍に与えられ、蒋介石軍とのその後の内戦に勝利することになった。

自転車の運転マナー [現代社会]

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  東京新聞の「東京下町日記」という連載コラムで、ドナルド・キーンさん(日本文学の専門家、95歳)が、自転車との接触事故について書いていた。正面から来た自転車のハンドルが、すれ違いざまに彼の右ひじを強打し、「痛い」と声をあげたが、自転車に乗っていた中年女性は何事もなかったかのように通り過ぎ、振り返りもしなかったとのこと。

  キーンさんは、続けて以下のように言っている。
 「自己中心的な人が増えているからか、公共の場で、周囲に気配りできない人が目立つように感じる。コミュニティーを大切にする日本なのに、一方で他人の迷惑を顧みない利己主義がはびこっている。」

1 自転車のマナーの悪さでは、先進国の中で日本は断トツの一番ではないだろうか。
  歩道や駅前の歩行者用広場のようなところを自転車がスピードを上げてすり抜けるような光景は欧米では見たことがない。

  どうしてこういうことになってしまっているのだろうか。
  理由を考えてみると・・・

(1)自転車専用レーンが少なすぎる。
   人口853万人のニューヨーク市には自転車専用レーンが1,610キロメートルあるが、人口1,368万人の東京都には平成22年の数字では19キロメートルしかない。
   人口一人当たりの距離に換算すると、東京都はニューヨーク市の136分の1しかないということになる。

<ニューヨークの自転車レーン>
自転車レーン.png

   東京では道路の幅が狭すぎて、歩道さえない道路が多く、自転車レーンなどとても増やせないということがある。
   日本の町では、欧米と違い、乗り物として馬車はあまり一般的ではなかったので、昔は道路は歩行者専用に近く、あまり広くする必要がなかった。そこに自動車が走るようになってしまった。欧米では馬車を乗り物として使っていたので、自動車が出てくる以前から歩道を造る必要があった。

(2)自転車に対する取り締まりが殆どない。
   道路交通法では以下のように定めている。
   「自転車は車両であるため、歩道が設けられた道路においては、基本的に車道を通らなければならない。ただし、次のいずれかに該当する場合には、歩道を通行することもできる。
    ①『自転車通行可』の道路標識または『普通自転車通行指定部分』の道路標示がある歩道を通るとき
    ② 運転者が13歳未満もしくは70歳以上、または身体に障害を負っている場合
    ③ 安全のためやむを得ない場合  」

   しかし、この法律の規定は世の中に認知されていないし、守られていない。
   『自転車通行可』の道路標識または『普通自転車通行指定部分』の道路標示がある歩道が非常に少ないにもかかわらず、自転車はどの歩道でも堂々と走っている。
   警察も、PRする努力をしていないし、取り締まりもしていない。
   警察官は自転車のマナーを指導しても、自分の成績にはならないのだろう。

   子供を乗せて保育園に急ぐお母さんに車で混みあう車道を走らせるのはかわいそう、という声がある。確かにそうだ。

   しかし、そうだからといって、それ以外の人が猛スピードで歩行者の横をすり抜けたり、信号を全く無視して走ることは許されないであろう。

2 ロンドンでの自転車通行
(1)ロンドンでは、自転車は車道を走る。しかも、日本のように道路の端っこを走るのではなく、堂々と車線の中央を走る。後ろを走る自動車は、前の自転車に衝突しないよう十分な車間距離を保つ。

(2)交差点を通過する場合も自動車と同じで、右折車は右折車線を、直進車は直進車線を、左折車は左折車線を進む。

(3)自動車と自転車がともに流れを乱さないようにスムースに走るためもあって、街中での自動車の最高速度を日本に比べると、低く抑えるようにしている。

<ロンドンの自転車>
  ロンドン 自転車.jpg 

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