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「主権なき平和国家」 [現代社会]

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  集英社、2017年10月刊。
  著者は、伊勢﨑賢治さんと布施祐仁さん。

  地位協定の国際比較から日本の状況を分析している。
  
  現在、日本には78の米軍施設があり、面積では264.4平方キロメートルを占めている。
  日本の国土全体に占める割合は0.07%に過ぎないが、沖縄本島だけでみると14.6%の面積を米軍施設が占めている。

  米軍が日本において活動するについて、日米間で「地位協定」を結んでいる。
  アメリカは、世界の多くの国と地位協定を締結し、軍隊を駐在させているが、日米間の地位協定ほど、アメリカに都合の良い地位協定はほかにない。
  ドイツ、イタリア、韓国、フィリピン、アフガニスタン、イラクなど各国は、アメリカと粘り強く交渉し、譲歩を引き出してきた。
  しかし、日本はそのような交渉をしようとしない。
  この結果、日本は様々な不利益を被っている。
  日米間の地位協定の問題点は以下の通り。

1 刑事裁判権
  沖縄での米軍関係者による殺人、強盗、強姦などの凶悪犯罪が毎月1件以上のペースで発生している。
  しかも、こうした犯罪者の多くが地位協定により保護されており、日本の法律で裁くことができない。
  これは、保護対象者が、米軍に雇用されている兵隊だけではなく、米軍専用のサービス提供者にまで及んでいることも一因である。
  また、基地外で犯罪を犯した人間が基地内に逃げ帰ってしまった場合、日本の警察は取り調べもできない。
  1996年から2011年の間に強姦容疑で摘発された米兵35人中、8割強にあたる30人が逮捕されず、不拘束で事件処理されていた。
  日本政府は、主権を主張するよりは、米側との対立をなるべく避けようとしているように見える。
  こうしたことから、沖縄における米兵による凶悪犯罪はいつまでも続いている。

2 警察権
  基地の中では米軍が警察権を行使できるが、基地の外では日本側が警察権を行使する。
  ただし、基地の外でも例外的に米軍の警察権の行使を認めている。
  また、米軍の財産に関して捜索、差し押さえ、検証を行う権利を日本側は基地の外でも放棄することを認めている。
  例えば、オスプレイが基地の外で墜落した場合、日本の警察は事故機を捜査することができず、アメリカ側が勝手に現場周辺に規制線を張り、日本の警察さえも立ち入り禁止として、事故機を撤去してしまう。

3 在日米軍の基地外での飛行訓練
  在日米軍は以下のようなルートを勝手に設定し、低空飛行訓練を行っている。
  この訓練により騒音問題や事故を引き起こしている。
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  また、オスプレイの飛行訓練についても、人口密集地の上空を飛ぶという危険な行為を行っても、日本側はそれを止めさせる権限を持っていない。

4 環境汚染
  基地内から周辺の川に有害物質が流れ出すことがある。
  また、基地内の焼却炉の煙から、基準を大きく上回るダイオキシンが検出されたこともある。
  しかし、米軍の同意がない限り、日本の当局が勝手に基地内に立ち入って調査することはできない。
  
5 国外の軍事作戦への駐留米軍基地の使用
  例えば、朝鮮有事の際に駐留米軍の戦闘機や艦船が日本の基地から発進することになった場合、日本の米軍基地が攻撃を受ける可能性がある。
  こうしたことから、大半の国でこうした基地の使用を禁止するか、あるいは事前協議制にしている。
  しかし、日本政府は「密約」で、朝鮮有事の際、協議なしに軍事作戦への駐留米軍基地の使用を認めている。

6 全土基地方式
  地位協定により、アメリカは日本のどこにでも基地の提供を求める権利がある。
  もちろん、日本側は拒否することはできるが、新たな基地の設置が戦略上、極めて重要ということになると断ることは容易ではない。
  例えば、ロシアとの北方領土交渉で、ロシア側からの「返還後に、そこに米軍基地ができる可能性はあるか」との問いに対し、日本側は「可能性はある」と答え、交渉はそこで頓挫せざるを得なかった。
  日本が「返還された北方領土に米軍基地は作らせない」とロシア側に回答することは、アメリカとの安保条約並びに地位協定の上から問題があるということである。

7 米軍駐留経費負担
  日本が負担する在日米軍関係経費は、2016年度で7,642億円。
  米軍の総経費の約6割を日本側が負担している。
  2004年の数字であるが、日本は、米軍が駐留する他の国のすべてを合計した負担額を上回る金額を負担している。

8 横田ラプコン
  米軍は、関東・信越の上空に以下のような巨大な専用空域を保持している。
  日本の航空機はこの空域を避けて通らなければならない。
  これについて日本政府はアメリカ政府に対して再三、返還を要請しているが、返還は実現していない。
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 *このように、日本はアメリカのいいなりの「従属国家」になっている。
  なぜ、改善しないのだろうか。
  ① 日本の平和が、駐留米軍の存在により保たれているという誤解。
    有事の際に、駐留米軍が日本を守ってくれるかどうかは分からない。
    駐留米軍の存在がかえって、日本の平和にとりマイナスになるということもある。

  ② 地位協定の問題を沖縄だけの問題ととらえ、大半の国民は関心を持たない。

  ③ 戦争直後から続く、アメリカに対する変な依存心と友好ムード。
    しかし、アメリカは自国にとり有益であると判断しない限り、戦争には加わらない。
    経済的にも、あくまでも自国の利益を追求する国である。
    


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「丸腰国家 軍隊を放棄したコスタリカ」 [現代社会]

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  扶桑社新書の一冊、2009年刊。
  著者は、コスタリカ研究家の足立力也さん。

  コスタリカは、中央アメリカ南部にあり、北はニカラグア、南はパナマと国境を接してる。
  人口は489万人で、日本の26分の1。 面性は51,100平方キロメートルで日本の7分の1。
  豊かな自然に恵まれ、環境保護を重視している。
  電力の98%は再生可能資源から得ている。
  1949年に常備軍を廃止する憲法を成立させ、軍隊を持たない国となった。

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1 紛争の絶えない中央アメリカ
  アメリカにとって中央アメリカは以下の理由から、重要な意味を有していた。
  ① 大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河のほか、コスタリカとニカラグアの国境地域も運河建設に適しており、勢力下にしておきたい地域であった。
  ② アメリカから比較的近く、共産化を防ぐ必要があった。

  しかし、中央アメリカ諸国では、アメリカの支援を受けた勢力と、ロシアの支援を受けた勢力が敵対し、紛争になることが多かった。

2 軍隊の廃止
  こうした状況にあって、あえて軍備の廃止に踏み切った。
  理由は・・
  ① 19世紀のころから、「軍隊は悪だ」という考え方が出ていた。
  ② 軍隊に配分する財政の余裕がなかった。
  ③ 政権基盤を強化するため、反対勢力の軍隊から武器を取り上げ、組織をつぶす必要があった。
  ④ 政権側の軍隊についても、常にクーデターを起こす可能性があったので、その力を削ぐ方が政権の安定化につながった。

3 軍隊がなくても大丈夫か?
  中央アメリカは、紛争が起きやすい地域であり、軍隊を廃止した後もコスタリカは何度か軍事的な危機にさらされた。
  しかし、様々な国際的圧力の中で小国が生き延びるためには、軍事力にできるだけ頼らない方がむしろ現実的だった。
  軍事的危機が起きるたびに、軍事力以外の方法を模索し実行した。
  軍事力を使わない方向で対処した方が良い結果を得ることができ、「軍隊がないことが最大の防衛力だ」と言えるまでになっている。

4 軍事力以外の方策とは?
  政権の反対勢力が、隣国ニカラグアの支援を得て侵攻してきたときには、米州機構に訴え、その圧力でニカラグアが支援するのを止めさせることができた。
  反対派の軍事的侵略については国内問題として処理するのではなく、より大きな国際的枠組みの中で捉え、多国間外交の場に持ち込んで非軍事的解決を目指すのが効率的であった。

  ニカラグアの内戦の際には、ニカラグアの反政府勢力をアメリカのCIAが支援し、コスタリカの領土内に反政府勢力の秘密基地を作った。
  ニカラグアの内戦が、コスタリカ領土内にまで拡大して、コスタリカの人々にも被害が及ぶ心配があった。
  このため、コスタリカは「積極的永世非武装中立宣言」を発表し、どちらにも見方をしないが、仲介者としては積極的に介入することとした。
  実際に、コスタリカの仲介により、和平協定が締結された。
  コスタリカが武力を持たなかったからこそ、仲介者として関係国の信頼を得ることができた。

5 充実した福祉政策
  コスタリカは、軍事費が不要な分、福祉を充実させることができた。
  例えば・・
  ① 小中学校の教育費はすべて無料。
  ② 健康保険が整備され、自己負担なしで医療サービスが受けられる。
    健康保険の保険料が払えない人たちも、無償で医療を受けられる。

  コスタリカの所得水準は「発展途上国」並みであるが、就学率、医療費負担、平均余命など社会指標はどれをとっても「先進国」並みである。
  軍事費がないことで、教育や医療、福祉により多くのお金を回せるようになったことは、まぎれもない事実だ。

6 コスタリカの負の側面
  コスタリカは理想の国ではない。
  例えば・・
  ① 麻薬の蔓延が社会問題となっている。
  ② 治安が急速に悪化している。
  ③ 政治腐敗と政治不信が深刻である。
  ④ 女性の人権が十分に守られていない。
  ⑤ 貧困が蔓延し、格差が拡大している。
  ⑥ わいろが横行している。

  この国にはいいいところもあれば、悪いところもある。


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「食肉の帝王」 [現代社会]

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  講談社+α文庫の一冊。2004年刊。
  著者は、ノンフィクションライターの溝口敦さん。

  食肉卸売業のハンナンの元会長で、食肉業界のドンとよばれた浅田満の実態を解明している。
  ハンナングループは、大阪市中央区に本社があり、現在、国内24社、海外5社を展開する食肉総合企業となっており、社長は浅田満の甥の浅田勘太郎が就任している。

1 牛肉偽装事件
  浅田満は2004年に、BSE(牛海綿状脳症)に関する国の補助制度を利用し不正を行ったとして、詐欺罪など複数の容疑で逮捕された。
  買い取り対象は国産牛肉に限られていたが、浅田満は、加工肉、内臓肉、輸入肉など買い取り対象外の肉を混入させ、国産牛肉と偽って買い取り申請をしていた。
  これにより浅田満は、計約50億3000万円の詐欺や補助金適正化法違反(不正受給)などの罪に問われた。

  2015年4月に、懲役6年8月の実刑判決が確定し、2016年11月に収監され、現在服役中である。
  浅田満は1938年の生まれで、現在79歳。
  
2 政界とのつながり
  浅田満は元衆議院議員の鈴木宗男に多額の資金を提供していた。
  鈴木宗男は北海道の選挙区からの選出であるにもかかわらず、「大阪食品流通研究会」という政治団体を持ち、ここに浅田満からのお金が流れていた。
  鈴木宗男本人やその私設秘書が、ハンナングループの会社の名目的な社員となり、給与を受け取っていたこともある。
  また、顧問報酬を受け取っていた。

  鈴木宗男はこうした支援の見返りとして、浅田満のために以下のような動きをした。
  ① 日本でもBSEが問題になった際に、国による在庫牛肉の買取を農水省の幹部に強く迫り、実現させた。
  ② 国での買取が決まると、その情報をいち早く浅田満に伝えた。
   (浅田満は、その情報をもとに、傘下の食肉会社に、輸入肉を国産牛表示の段ボール箱に詰め替えさせた。)

3 相撲界とのつながり
  1984年、浅田満の長女が九重部屋の元力士、君の富士と結婚した。
  この時、鈴木宗男夫妻が仲人を務めた。

  また、元横綱で現在の相撲協会理事長の八角親方(北勝海)の結婚式では、浅田満が仲人を務めた。
  浅田は八角部屋のために、大阪のけいこ場を藤井寺に立ててやったこともある。

4 暴力団とのつながり
  浅田は、山口組組長の渡辺芳則と親しかった。
  浅田は、このつながりを利用して、グループ会社の昭栄興業に工事を受注させた。
  同社は、これといった重機や技術を持っていなかったが、ゼネコン以上に工事を受注し、下請け的存在でありながら、逆にゼネコンに工事を「上投げ」していた。
  昭栄興業は大阪ばかりでなく全国に展開し、中部国際空港の土木工事まで受注した。




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ベネズエラの経済破綻 [現代社会]

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* CNN電子版による。

  ベネズエラ経済は極度の混乱に陥っている。  
  
1 原油生産の減少
  ベネズエラは原油の埋蔵量が世界で最も多い国である。
  しかし、政府の失政と腐敗のため、原油生産量が減少してきている。
  昨年の3月までは、1日当たり220万バレルを維持していたが、12月には170万バレルにまで減ってきた。
  これは2002年以来の低水準で、石油価格の低迷と合わせて、経済に深刻な影響を与えている。

2 公的債務の支払い遅延
  政府と国営石油公社の債務支払いが遅延するようになってきた。
  いつまでも返済ができないと、期限の利益を喪失し、600億ドル(6兆6千億円)とみられる公的債務全体の期限が到来することになり、海外の債権者により石油資源の差し押さえなどという事態を招くことになる。

  ベネズエラ政府が発行する債券の金利は12.75%と高い。
  しかし、それでも人気はなく、現在、4年物の債券は流通市場で額面の4分の1の値段で取引されている。

3 通貨価値の下落
  ベネズエラの通貨であるボリバーの価値が以下のように極端に下落している。
    1年前   1米ドル =  3,100ボリバー
    現在   1米ドル = 191,000ボリバー
  すなわち、ボリバーの価値は1年前の61分の1になっている。

4 食料等の不足
  資金不足から、食料や医薬品、その他生活必需品の輸入が難しくなってきている。
  このため、スーパーマーケットから物がなくなり、また、医薬品の不足からマラリヤの蔓延や乳幼児や妊産婦の死亡率が急上昇している。

5 著しい物価騰貴
  昨年1年間の物価上昇率は4,000%を超えた(400倍)。
  毎月、物価が平均して2倍になるということである。
  お金を現金で持っていると、1か月で価値が半分になるということなので、現金はとにかくなんでもいいから物に変えた方がよいということになる。

  ベネズエラの通貨ボリバーは、価値尺度、流通手段、価値貯蔵といった通貨としての基本的機能をほぼ完全に失いつつある。

6 政府の対応
  政府は最低賃金の額を40%引き上げるなどの対応をとっているが、インフレにとても追いつかない。
  また、一方では、インフレを抑えるため、預金の引き出しを制限している。
  現在も1日当たり1万ボリバー(日本円で6円程度)が引き出しの上限となっている。
  しかも、銀行には長蛇の列で、引き出すのに数時間を要するという状況である。

  食料や必需品については、政府から直接の配給が行われているが、この配給制度は近い将来に途絶えるのではと多くの人が懸念している。



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「日本 呪縛の構図」 [現代社会]

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  以下に拠る。
  「日本 呪縛の構図(下)」 第11章 日本と世界
    早川書房、2015年刊。
    著者は、筑波大学教授のR・ターガート・マーフィーさん。

1 日本はアメリカの保護国
  日本は、アメリカの同盟国ではなく、保護国だ。
  日本は、国内統治に関してある程度の裁量権を与えられているが、すべての重要な外交政策や安全保障上の問題、そして既存システムの改変につながるような経済政策の問題の扱いについては、必ずアメリカ政府の意思に委ねなくてはならない。

2 民主党の鳩山政権に対するアメリカ政府の姿勢
  民主党の鳩山政権が誕生したとき、アメリカのオバマ政権は鳩山を嫌った。
  アメリカは、中国や北朝鮮の脅威に対して東アジアの平和を維持するためには、日米間の軍事協力が不可欠と考えていた。
  しかし、鳩山は選挙で、在日米軍の削減や日米同盟の見直しを主張していた。
  また、民主党の小沢一郎は、民主党が政権についた直後に中国を訪問し、自国の安全保障や外交政策の枠組みを見直す予定だということを、中国首脳に伝えていた。
  こうしたことから、アメリカ政府は鳩山政権と距離を置くことにした。

3 沖縄の普天間基地問題
  2011年、米上院軍事委員会のメンバーが以下のように発言している。
  ① 米海兵隊が使用している普天間飛行場の移転先を辺野古にすることはもちろん、それ以外の場所でも無理だ。
  ② 考えられる唯一の解決策は、米空軍が使用している嘉手納基地と統合することだ。
  ③ 米海兵隊と米空軍の競争意識が統合を阻害するのであれば、海兵隊には沖縄から撤退する以外の選択肢はない。

  辺野古に基地を建設することは、生息している絶滅危惧種のアオサンゴやジュゴンに影響を与える。
  しかし、小泉政権時代、ラムズフェルド国防長官は、辺野古移転を認めなければ全ての在日駐留米軍を引き上げると日本を脅して認めさせていた。

  この問題は、鳩山政権を追い詰めることになる。

4 鳩山首相と日本の官僚
  日本の官僚機構の幹部は、有権者やその代表である政治家に仕えようとは考えていない。
  鳩山首相についても、同じだ。
  高級官僚たちは、鳩山をペテンにかけ、彼に、普天間をめぐるアメリカ政府とのごたごたは何とかなるので、心配する必要はないと思いこませた。
  鳩山はうかつにも、普天間問題を2010年5月までに解決することに「進退を賭ける」と言ってしまった。
  鳩山は、アメリカ政府と日本の高級官僚に追い詰められ、辞任に追い込まれた。

5 日銀黒田総裁の金融緩和
  日本は膨大な財政赤字を支えることに何の痛痒も感じてこなかった。
  金利が低く抑えられて、財政赤字の利払い負担が軽減されていたためだ。
  
  だが、黒田が意図的にインフレを起こすことに成功すれば、金利は間違いなく上昇する。
  加えて、財政赤字が今後も拡大する一方であれば、日本の国債市場にパニックを引き起こす恐れがある。
  また、海外のヘッジファンドが日本国債を空売りし、その結果、日本の金利体系そのものを崩壊させる危険性は常に潜んでいる。
  日本に対する好意など微塵も抱いていないヘッジファンドが、ここまで大規模な金融緩和を好機と見て、暴利をむさぼるために懸命に策を練っているというのはむしろ自然な見方である。

6 日米同盟の持続可能性
  アメリカは本来、日本のことなど気にもかけていない。
  アメリカは、構造的、制度的に外部世界について無知である。
  米国民は、アメリカが戦争をすることにますます難色を示しつつある。
  
  中国の軍事力はアメリカに遠く及ばないし、日米合同軍の敵ではない。
  しかし、中国はアメリカがアジアから撤退することを望んでおり、その気持ちはアメリカがアジアに残りたい気持ちよりはるかに強い。
  中国はそれを実現するために、長期的な視点で大きな賭けに出ている。
  それが明確になったとき、日米同盟は崩壊を逃れない。
  そうなれば友人に去られた日本は、アジアで孤立することになる。


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「異次元緩和脱出 出口戦略のシミュレーション」 [現代社会]

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  日本経済新聞出版社、2017年10月刊。
  編著者は、みずほ総合研究所の高田創さん。

  異次元緩和からの出口戦略とその影響を探る。

1 金融緩和のベネフィットとコスト
(1)ベネフィット
  異次元の金融緩和は、以下のような効果により景気回復に貢献した。
   ① 日米金利格差拡大による円安
   ② 円安やETF購入による株高

  また、金利低下は国債費の抑制を通じて財務悪化に歯止めをかけている。
  現状の金融緩和策が実施されなかったら、財政悪化はさらに深刻な問題となっていたであろう。

(2)コスト
  しかし、異次元の金融緩和は、以下のような弊害ももたらしている。
  ① 金融機関の収益減少と経営の悪化
  ② 日銀の収支悪化
  ③ 財政規律の低下
   (消費税増税とプライマリーバランス黒字化の先延ばし)
  ④ 国債市場の機能低下
   (市場の流動性が低下し、金利が上下に振れやすくなる)
  ⑤ 調達機能の変動を通じた企業淘汰促進機能の麻痺
  ⑥ 年金資産や保険会社などへの打撃

  超低金利環境が長期化することのコストは、各分野で想像以上に大きい。
  極めて低い物価と経済成長の局面であっても、すべての主体が存続するためには、ある程度の金利上昇が必要である。

  日本の場合、少子高齢化というマイナス要因を背負っている。
  国債の保有者である日銀が、国債保有額減少へ舵を切ることの市場への影響は大きい。
  日銀のETFの購入停止や保有額の削減も容易ではない。

  景気はいずれ後退局面を迎えるが、今のままでは対応余力が限られる。
  余力のある今こそ、出口戦略を進めるべきだ。

2 出口戦略における提言
(1)インフレ目標を「2%」から引き下げて、インフレ率が2%に達しなくても、早期に出口戦略を進めるべきだ。
   出口に向けた対応手順の明確化が必要だ。

(2)出口戦略を進めるうえでは、日銀、財政、金融機関の3者がともにリスクを負担しあい、協調することが求められる。

(3)金利が引き上げられるような環境を作るためには、潜在成長率の引き上げや自然利子率を上げる成長戦略が不可欠だ。
   過度の金融政策依存から、財政政策重視への転換も必要だ。

(4)金利上昇スピードをコントロールする必要がある。
   急激な金利上昇は、日銀、財政、金融機関へのマイナスの影響が多きくなる。

   緩やかに金利が上昇するのであれば、景気拡大に伴う税収増でプライマリーバランスの改善は早まる。
   政府の債務残高は増加するものの、GDP比でみれば着実に改善に向かう。
   また、金利上昇を可能とするだけの景気回復が実現すれば、財政の安定性は高まる。

(5)日銀が国債購入を減少させると、新規国債の円滑な消化に問題が出てくることが懸念される。
   新たな国債投資家を開拓することを含めた国債管理政策の真価が問われる。
   国内の個人投資家や海外投資家への販売拡大が必要である。

 
 *この書籍の疑問点
  1 「戦後直後の日本のようなハイパーインフレは起こりにくい」として、そのリスクを検討から除外しているが、果たしてそうか。これだけの過剰流動性が企業に蓄積されている状況では、いったんインフレ傾向が明確になると、企業の買い急ぎ、売り惜しみが発生し、インフレが加速するのではないか。

  2 異次元の金融緩和が日銀、財政、金融機関にどのように影響しているかについて分析検討しているが、国民への影響を考慮していない。異次元の金融緩和は果たして国民にプラスになったのであろうか。低金利により、膨大な所得が個人から財政や借金過多の企業へ移転した。

  3 異次元の金融緩和は、結局、放漫財政を持続させただけ。日銀は政権与党にとり都合の良い政策を続け、「物価の番人」という自分の責務を捨ててしまった。今後、インフレが発生しても、日銀にはもはや対応手段がなく、放置せざるを得なくなる。
 

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「この国の冷たさの正体」 [現代社会]

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  朝日新書の一冊。2016年1月刊。
  著者は、精神科医の和田秀樹さん。

1 生活保護たたき
  生活保護を不正に受給している人が多いとか、浪費と怠慢が貧困の原因だというような、批判が少なくない。
  まるで生活保護受給が悪であるかのような雰囲気もある。

  しかし、不正受給額の割合は全体の0.5%程度と極めて低い。
  また、日本の生活保護費総額がGDPに対する割合は、他の先進国に比べてかなり少ない。
  イギリス5.0%、フランス4.7%、ドイツ3.3%、アメリカ1.2%に対し、日本は0.6%。

  日本では生活保護の受給資格があるのに受給していない人も多い。
  救われるべき人が救われていない。

  * ダイヤモンド社のサイトによると、生活保護支給総額の50%近くを医療費が占めている(生活保護受給者の自己負担はない)。医療費のうち60%は入院費であり、入院費のうち40%は精神病によるもの。
  * 厚労省は、生活保護支給額の一律削減により、支給総額を抑制しようとしているが、医療費の問題には手を付けようとしない。

2 歪んだテレビ局
 ・バッシングの対象を常に探し、全局一致団結して徹底的にたたく。
 ・経費削減のために、取材は記者クラブの発表情報や通信社に頼りきりで、独自取材をろくにしない。
 ・スポンサーの顔色をうかがい、都合の悪いことは報道しない。
   *最近は官邸の顔色も?

3 消費税の引き上げ
  日本では財政問題を解決するための一手段として消費税の引き上げが検討されているが、アメリカは8.875%で、カナダは5%。日本の消費税率がとりわけ低いわけではない。
  ヨーロッパ各国は20%を超えているが、医療費や大学までの教育費が無料など、福祉のレベルが違う。
  日本は消費税を引き上げても、「消費税率はヨーロッパ並み、福祉のレベルはアメリカ並み」という結果になる。

4 雇用状況の悪化
(1)非正規雇用者
  派遣社員やパートなどの非正規雇用者が増え続けて、全体の37%を占めるまでになっている。
  非正規雇用者の約8割は年収200万円未満ともいわれており、日々の生活費にお金は消えてしまい、貯蓄をすることができない。
  年金は、きちんと保険料を払っても国民年金だけ。
  保険料を払っていないと、働けなくなったとたんに生活保護に頼るしか生きる方法はなくなる。

(2)給与額の減少
  民間給与平均額をは1997年の467万円をピークに、2016年は421万円にまで減少している。
  
  *業種別にみると、宿泊・飲食サービス業が234万円で最も低い。
   最も高いのは、電力・ガス供給業の769万円。

 
 *この本の賛同できないところ
  ① 生活保護の受給は正当な権利であり、受給が必要な人は遠慮なくもらうべきだというのはわかるが、精神科医として、生活保護支給額の少なくない部分が精神疾患の長期入院費用に使われていることにも言及すべきだ。

  ② 下記の理由から、飲酒運転の厳罰化に反対しているのは信じ難い。
    ア 地方の飲食店経営者の生活を脅かしている。
    イ 飲酒運転による悲惨な人身事故は年に数件あるかないかに過ぎない。
    ウ 地方の勤務医は、酒を飲んでいる時でも病院に呼び出されると、車を運転して駆けつけるしか方法がない。

  ③ 原発再稼働問題や集団的自衛権問題などよりも、生活保護や社会保障の問題に関心を持て、としているところ。

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「東京五輪後の日本経済」 [現代社会]

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  小学館、2017年9月刊。
  著者は、元日銀審議議員で、慶応義塾大学教授の白井さゆりさん。

1 不動産の状況
(1)今回の不動産価格の高騰は、東京都心の不動産や、大阪・名古屋などの中核都市中心部の不動産のみにみられる局所的な現象である。

(2)節税対策などを目的とした、個人によるアパートなどの貸家建設が増えている。
   アパートの居住者が増えていく見通しがない、実需を伴わない建設ブームとなっている。

(3)東京都心でのオフィスビルの建設も増えている。
   少子高齢化により、オフィスで働く労働者は減少していく見込みであり、オフィスビルは供給過剰の状態になることが見込まれる。

2 株価の状況
(1)日本の株を買っているのは外国人投資家、特にヘッジファンドであり、保有比率を高めている。
   彼らの気まぐれな売買動向によって市場が大きな影響を受けてしまうというのは、決して好ましくない。

(2)日銀は年間6兆円もの巨額な資金を、ETFの購入に充てている。
   保有残高は20兆円を超えている。
   年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、36兆円の国内株式を保有している。
   東証一部の株式時価総額は671兆円であるので、日銀とGPIFで合わせてその8%強を保有していることになる。
   しかも、この比率はこれからも高まっていく。

   こういう状況の問題点は・・
   ① 日銀もGPIFもモノを言わない株主であり、こうした株主が増えると株主から企業経営者への監視が甘くなる。
   ② 株式市場の株価形成に対する影響が大きくなっており、日銀がETFの購入を止めたり、売却するという決定をするだけで、株式市場暴落の引き金を引きかねない。
   ③ 日銀は巨額のリスク資産を抱えたままの状態で、経営を続けざるを得なくなる、
   ④ 日銀が買うのは主に大手企業の株式であり、中小企業は恩恵がない。
   ⑤ 株価上昇の恩恵を被るのは外国人投資家と一部の富裕層であり、その他の大部分の人々にはプラスになっていない。
   ⑥ ETFではあるが、株価の高い銘柄の構成比が高くなるなど、価格形成にゆがみを生じる。

3 異次元緩和の功罪
(1)期待した効果がみられていない。
   ① 物価上昇率はプラスに転じてはいるが、2013~2016年平均で年平均0.5%にとどまった。
   ② 経済成長率の伸びは低下してきている。
   ③ 賃金は増えず、物価の伸びがプラスになった分だけ実質賃金は減少、生活は苦しくなっている。
   ④ 円安にはなったが、工場の海外移転が進んでおり、輸出数量は増えていない。

(2)ゼロ金利政策、マイナス金利政策の問題点は・・
   ① 需要が低迷しており、金利を低くしても貸し出しが伸びるような状況にない。
   ② 国債の金利が低く抑えられているため、財政節度を弛緩させてしまっている。

4 個人消費低迷の要因
   ① 賃金が増えない中で、世界的な原油価格や食料品価格の上昇、円安に伴う輸入品、輸入材料の全般的な値上がりにより、生活物資の価格が上昇しており、生活を苦しくしている。
   ② 社会保険料負担の増大も、手取り賃金の減少の要因の一つとなっている。
   ③ 非正規雇用が増加しており、雇用の安定が失われつつある。
   ④ マンション価格などが著しく上昇しており、貯蓄を増やす必要に迫られている。
   ⑤ 少子高齢化、巨大な国の借金の存在など、将来不安が増してきている。

5 異次元緩和の出口
(1)日銀は国債を大量に買い続けており保有残高は400兆円に達している(国債発行残高の4割超)。
   いつまでも買い続けることはできない。
   近い将来、国債の購入を削減、さらには停止しなければならない。

(2)日銀が国債の購入を停止すれば、金利は上昇する。
   金利の上昇は国債価格の低下を意味し、場合によっては暴落する。
   国債を保有している銀行、保険会社そして日銀は大きな損失を被る。
   また、国の金利支払いが増加し、財政が破綻の危機に瀕する。

   そのような状況になれば、外国人投資家による日本売り、そして国内投資家による海外への資金逃避が起こり得る。

6 東京五輪後の状況
(1)不動産価格  
  高騰していた東京の不動産価格も東京五輪後は調整局面を迎える可能性が大きい。
  理由は・・
  ① これまでの価格押上げ要因であった、五輪特需と異次元金融緩和がいずれもなくなる。
  ② 世帯数減少期を迎え、住宅に対する需要が増えない。
  ③ アパート供給過剰の影響が顕在化する。

(2)為替
  A 近い将来、以下の理由からいったん円高に向かう。
   ① アメリカではインフレが進む一方、日本ではインフレが進まず、インフレ率の差が広がっている。
   ② アメリカの経常収支赤字のGDP比は2%前後のままで推移しているが、日本の経常収支黒字のGDP比は上昇傾向にある。
   ③ 日銀による異次元金融緩和策が修正されると日本の金利が上昇し、日米の金利格差が縮小する。

  B ただし、日本の膨大な政府債務は膨らむ一方であり、将来的には円の大暴落の危険性はある。

(2)株価
  大規模な金融緩和政策が終息するにつれ、株価はやがて下落に転じる。
  円高もマイナス材料となる。

  ヘッジファンドなどの外国人投資家は、「日本経済に未来があるなどとは考えていないし、興味もない。日本に投資しているのは、ここ1~2年で儲ける機会があるとみているだけだからだ」と言っている。


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「言ってはならない日本のタブー100」 [現代社会]

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  宝島社、2017年7月刊。
  著者は、ノンフィクションライターの西川研介さんなど。

  100の項目のうち、いくつかを拾ってみると・・

1 警察
  警察業務では、法律と規則に従って厳格に仕事をしている。
  しかし、内輪の行動については法令を平気で逸脱し、とりわけ身内の不祥事をもみ消すことに関しては、どんな組織もかなわない。
  2002年には、北海道警を告発しようとした男性が、初公判の直前に拘置所の独房で怪死した。

  また、実質的には民間賭博に類似しているパチンコ業界と関係が深く、パチンコメーカー、業界団体、換金業務を行っているTUCなどに数多くの警察OBが天下っている。

2 部落解放同盟
  マスコミや一般の会社が差別用語を使用すると、厳しく糾弾する。
  そして、それらからいろいろな名目で金をとる、
  解放同盟は、構造的に「差別がなければ食っていけない」状況になっている。
  多様な意見を受け入れず、頑迷になっている。

3 記者クラブ
  批判精神を持つべき記者が、取材対象と癒着し、コントロールされる。
  取材対象の役人から嫌われると、特ダネをとれないどころか、自分のところだけ報道が遅れるというような嫌がらせを受ける。
  このため、担当者に嫌われないようにすると、批判の矛先がどうしても鈍る。

4 思いやり予算
  日本政府は米国政府に対して、米軍駐留の見返りとして、年間7600憶円を支払っている。
  (米軍駐留経費、基地賃料、基地周辺住民への対策費、米軍再編経費など)
  日本政府がこのような巨額のお金を支払っていることはアメリカではあまり知られていない。

5 官房機密費
  領収書が不要で、会計検査院の監査も免除されている。
  使途についても公開されることはない。
  金額は毎年15億円前後。官房長官が支出を任されている。
  
6 宗教法人の税制優遇
  法人税、所得税、固定資産税、すべて免除。
  宗教法人に民間企業並みに課税すれば、税収は年間4兆円ともいわれる。
  日本は莫大な借金を抱えており、消費税率の引き上げばかりではなく、宗教法人に対する課税もしてもらいたいところ。
  しかし、公明党が政権与党にしがみつくのも、この宗教法人に対する課税を阻止したいからと思われる。

7 日本会議
  安倍首相をはじめ自民党の多くの議員が参加する極右組織。
  憲法改正、教育基本法改正、靖国公式参拝、夫婦別姓反対などを基本方針にする。

8 アマゾン
  日本法人であるアマゾンジャパンは、法人税のほとんどを日本国内で払っていない。
  国税庁は2009年にアマゾンジャパンに対して140億円の追徴課税を命じたが、アマゾンジャパンい拒否され、国税庁は引き下がった。
  アマゾンジャパンの業務はすべてアメリカのアマゾン本社からの委託で、定額の委託料以外に収入はないというのがアマゾンジャパンの主張。
  アマゾンジャパンの売り上げがどんなに増えても、日本での法人税は増えない仕組みになっている。

9 日本学生支援機構
  年間の貸与額1兆1,000億円のうち約8,000憶円は有利子の貸し出し。
  利息と延滞金が年間400憶円入ってきている。
  文部科学省から出向してくる幹部職員が受け取る高給の原資になっている。
  奨学金を利用した卒業生は薄給の中から返済を続ける。
  

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「縮小ニッポンの衝撃」 [現代社会]

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  講談社現代新書の一冊、2017年7月刊。
  著者はNHKスペシャル取材班。

1 日本の人口の推移
  1603年(江戸幕府成立)  1,227万人
  1868年(明治維新)    3,330万人
  1945年(終戦)      7,199万人
               <65歳以上の割合><65歳未満の人口>
  2008年(ピーク) 1兆2,808万人  22.1%   9,977万人
 *予測
  2030年      1兆1.913万人  31.2%   8,196万人
  2050年      1兆 192万人  37.7%   6,349万人
  2100年       5,972万人  38.3%   3,684万人

  これからの100年弱で、日本の人口は半減して、高齢者の割合が高まる。
  子供は少なく、そのため、その次の世代はさらに子供が少なくるというスパイラル的減少が進む。

  国土省の推計によると、2010年時点で人が住んでいる地域の6割以上で、2050年には人口が半数以下になる。
  約2割は、人が住まない無居住化地域になる。
  
2 北海道夕張市
  2006年に353億円の借金を抱えて財政破綻し、全国で唯一の財政再生団体に指定された。
  人口は、ピークの1960年の11万人から、現在は8,500人。
  65歳以上の人の比率は50%超。
  債務残高は238億円で、地方税収入は8億円のみ。
  多くの行政サービスが切り捨てられ、若い世帯は夕張を離れる。
  人口減少が進む一方、残った住民の負担が大きく膨らむ。
  夕張に残った住民は、全国最低の行政サービスと全国最高の市民負担にあえぐ。

  人口減少、少子高齢化、過大な債務。
  これが、数十年後の日本全体の現実だ。

  夕張市では、どのようなことが行われているのだろうか。
  ① 市の職員を4分の1に
  ② 市職員の年収を4割削減
  ③ 図書館や公共施設の閉鎖
  ④ 小学校を7校から1校へ、中学校を4校から1校へ
  ⑤ 子育て支援や福祉サービスの打ち切り
  ⑥ 住民の居住可能区域を狭め、インフラの維持費を節減
  ⑦ 老朽化した市営住宅からの立ち退きを推進

  夕張市では、人口増加を期待せず、限られた予算の中でやりくりをするため、徹底的に行政サービスの削減を進めて、生き残りを図ろうとしている。

3 島根県益田市
  一方、人口を維持、増加させるために依然としてお金を投入している自治体もある。

  益田市は、このままでは人口がどんどん減少するので、2012年に50,015人であった人口を2020年までに50,500人に少しだが増やすという目標を立て、人口拡大課という部署を立ち上げ、いろいろな施策を実施した。
 
  例えば、益田市は、人口300人足らず、高齢化率の一番高い地区をモデル地区に指定し、国から1億円以上を借りて、多目的集会施設を造ったりして、地域の活性化を図ろうとしている。
  国はこうした取り組みを進めるため、総務省が500億円、内閣府が1,000億円の予算を組んでいる。

  しかし、対象地域の住民の多くは70代や80代。
  人口300人の、この地区の広さは65平方キロメートル。
  人口89万人の世田谷区よりも広い。
  行政サービスやインフラを維持するのには大変だ、

  2017年3月末の人口は46,890人へと減少した。

4 集落の無住化
  すべての集落を維持しようとするのではなく、一定規模の拠点集落にまとまって移住する、集団移住を提唱する専門家もおり、また、実施例も出始めている。

  例えば、メインの道路から5キロ入ったところに高齢者が一人で暮らしている場合、雪国では5キロの道路の維持に年間450万円かかる。
  他に、ごみ収集や水道管のメンテナンスの費用もかかってくる。

  集落を消滅させることには住民の抵抗も予想されたが、実際に移転した住民の満足度は高いようだ。
  これまでのような「地方再生」の議論だけでは解決できないのが、「縮小ニッポン」の現実だ。
  
  * このような厳しい状況にもかかわらず、政府は財政の大幅赤字を継続して借金を積み上げ、また日銀は後のことも考えずに国債や株式を買いまくっている。人口縮小する将来世代への負の遺産は膨らむばかりだ。

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