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若者の血液注入による老化防止 [医療]

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  *イギリスの経済週刊誌「エコノミスト」最新号に拠る。

  若者の血液を老人に注入して若返りを図るということが、動物実験だけではなく、人間でも試されつつある。

1 1950年代の研究
  ある歯科医が虫歯の原因を探るため、二匹の実験用ねずみを双方の傷口を癒着させることにより、血液が行き来するようにした。
  こうした並体結合の実験により、この歯科医は虫歯の原因が生まれつきのものではなく、食べる砂糖にあることを正しく見つけ出した。

  この並体結合の実験技術を他の研究者が利用し、驚くべき結果をもたらした。
  ① 老化に伴い骨密度が減少していた年老いたネズミの骨密度が並体結合の実験により向上した。
  ② 並体結合の実験により、年老いたネズミが4~5か月、平均よりも長生きした。

  しかし、並体結合の実験は拒絶反応の危険性や、結合した二匹のねずみのうち片方がもう一方をかみ殺すなど、問題も多発したため、その後、同様の実験は行われなくなった。

2 研究の復活
  2005年に、ある研究者が生後2~3か月のネズミと生後19~26か月のネズミを結合させた。それぞれ人間でいえば20歳の人間と70歳代の人間に相当する。
  そして、年老いたネズミの筋肉を損傷させ、その回復ぶりを見た。
  通常、年老いたネズミの回復は遅い。
  しかし、このねずみの筋肉の回復は若いネズミのスピードと変わらなかった。
  肝細胞の増殖実験でも、通常の2~3倍のスピードで増殖した。

  この研究の後、他の研究がこれを追って行われた。
  それによると、脊髄損傷、脳神経、腎臓心臓壁の肥大化などが修復された。
  逆に、若い方のねずみには一部、老化の促進が見られた。
  
  また、ネズミ同士だけではなく、年老いたねずみに人間の臍帯血を注入したところ、記憶力の向上が見られた。

3 効果発現の要因
  こうした実験結果により、何らかの効果があることは推測されるが、それがどのような要因によるのかという点についての解明が必要とされた。

  化学物質の信号が年老いたネズミの方の幹細胞に作用する、という考えが出された。
  また、研究者は若いネズミと年老いたネズミの血液の化学物質の違いを探った。
  古いネズミの血液が若いネズミの腎臓や肝臓でろ過されるためという者もいた。
  免疫細胞の増加スピードの向上に、その効果の原因を求める者もいた。

4 人間への応用
  人間では並体結合は出来ないので、若者が献血した血液から作られる血漿が使用される。

  カリフォルニア州にある「アンブロシア」という会社は、血漿の注入を受ける方の人から8千ドル(88万円)の参加料を取るということでひんしゅくを買った。

  また、「アルカヘスト」という会社は、アルツハイマー病の患者18名に対して4週間にわたって4回、若い人から採取した血漿を注入する実験を行った。
  ネズミの実験では効果が見られており、この実験でも同様の結果となることが期待されている。
  結果は年末までには公表される予定である。

  効果があるということであれば、効果を発現する物質を特定し、化学的に合成して製造することにより、世界に4,400万人いるとされるアルツハイマー病患者に応用することができるようになる。

  これまでの実験結果からみて、寿命を延ばすという効果を期待することは難しそうだ。
  しかし、老化とともに現れてくる疾病の治癒に貢献することにより、「健康寿命」を延ばすことは期待できそうだ。

「蘭学事始」 [医療]

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  中公クラシックスの一冊。2004年刊。現代文に訳されている。
  著者は杉田玄白(1733~1817)。
  江戸時代の医師。若狭国小浜藩医の後、日本橋オランダ流外科を開業
  
  前野良沢、中川淳庵らとともに、オランダの医学書「ターヘル・アナトミア」を和訳し、1774年に「解体新書」として出版した。

 <解体新書>
解体新書.png

  「蘭学事始」は晩年に、「解体新書」翻訳時の苦労等を回想したもの。
  当初は私文書として保存されていたが、1869年、福沢諭吉はじめ有志一同が広く知らしめる価値ありとして、出版した。

 <蘭学事始>
蘭学事始.png

1 当時の医術
(1)中国から伝来した医術のほかに、江戸時代に入りオランダ流の外科療法が入ってきた。

(2)オランダ流の外科療法といっても、オランダ医師から通訳を通じての聞きかじりであり、結局は膏薬(こうやく)や油薬(あぶらぐすり)の調整法、使用法ばかりであった。

2 舶来品に対する規制の弾力化
(1)江戸時代初期は、西洋のことについては、すべてにわたって厳しい制限が課せられていた。通航が許されていたオランダに関してさえ、その国の文字を読み書きすることは禁止されていた。

(2)通訳の人たちも、オランダ語をただカタカナで書き留めておくといった程度で、もっぱら口で覚えてなんとか通訳に役立てていた。

(3)しかし、江戸の世も100年以上経つと、なんとなく西洋のことを遠慮する必要もないような雰囲気になってきた。通訳の人たちが、横文字を習い、あちらの本を読むことができるようにしたいと、幕府にお許しを願い出たところ、もっともな願いであると許可された。

(4)蘭書などを所持することも公認されているわけではないが、実際には所蔵している人もいるという状況になってきた。

3 「ターヘル・アナトミア」を入手
(1)1771年、江戸に来ていたオランダ人から、「ターヘル・アナトミア」など2冊の人体解剖の図解書を譲り受けた。代金は藩が支払ってくれた。しかし、そこに書いてある文章は理解することができなかった。

(2)もしこれらの本を直接に日本語に訳すことが出来たら、非常な利益になることは目に見えている。それなのに、これまでその方面に進もうと志を立てた人がいないのは、いかにも残念なことだと思った。

4 腑分け
(1)オランダの解剖書が手に入ったのだから、とにかくまず、その挿し絵図を実物と照らし合わせてみたいものだと考えていた。

(2)そこに町奉行の家来から、明日、千住の刑場でお抱え医師が腑分けをするので、お望みなら見学をしても良いとの知らせが届いた。翌朝、前野良沢とともに予定の場所に赴いた。

(3)良沢と私は、たずさえていったオランダの解剖図と照らし合わせて見ていたが、一つとしてその図といささかも違っているところがない。中国の古来の医書とは大いに異なっていた。

(4)二人は、今まで体の本当の形態も知らずに医者家業を続けていたのはなんとも面目ない、なんとか「ターヘル・アナトミア」を翻訳して体のことをもっと詳しく知り、治療に役立てたい、と話し合った。

5 翻訳作業
(1)早速皆で翻訳作業を始めたが、知っている単語は限られており、分からないことばかりだった。日が暮れるまで考え詰めても、一座の者がただお互いににらみ合っているだけで、わずか一、二寸ほどの長さの文章の一行でもわからないでしまうというありさまだった。

(2)しかし、ぴったりとした訳語を探し当てた時の嬉しさはたとえようもないほどだった。こんなふうに、あれこれと推測して訳語を決めていった。そしてその数も次第に増えていった。

(3)1か月の6、7回は集まって、このように思いを凝らし、精魂を傾け、苦心惨憺したのであった。およそ1年余りもたつと、訳語のたくわえも相当増え、読むにつれて自然にオランダ国の様子も飲み込めるようになっていった。

6 翻訳の完成
(1)4年の間に原稿を11回までも書き換えたあげく、ようやく「解体新書」翻訳の事業は完成した。

(2)振り返って考えてみれば、西洋の外科の法はすでに200年前から日本に伝わっていながら、直接にその西洋医書を翻訳するということは一度も試みられなかった。我々の最初の仕事が、およそ医学の一番の基本となるべき人体の内部構造を説いた本の翻訳であって、それが蘭書翻訳の始まりとなった。

(3)いよいよ出版するというとき、禁令を犯したとして罰を被るのではとの懸念があった。しかし、我が国の医学の道の発展のためということで覚悟して、決断した。さいわい幕府ならびに京都の朝廷にも翻訳書を献上することができた。万事差しさわりなくすんだ。

7 蘭学の発展
  翻訳を思い立ってから50年近い年月を経て、今や蘭学と呼ばれて全国に及び、年々に翻訳書も出るありさまと聞く。私は長い天寿を授けられ、この学問の開け始めの最初から経験し、今のように盛んになるまでの成り行きをこの目で許された。私はうれしくてならぬ。

オピオイド鎮痛剤 [医療]

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<オピオイド鎮痛剤>

  * アメリカの週刊誌「TIME]の最新号に拠る。

 アメリカではオピオイド鎮痛剤の中毒と副作用が問題となっている。
 2015年の1年間に、オピオイド鎮痛剤の過剰投与で亡くなった人は33,000人に達する。

 オピオイド鎮痛剤を常用する人の多くは、副作用を軽減するための薬を必要とする。
 例えば、吐き気を抑えるための薬、テストスタロン(男性ホルモン)をコントロールするための薬、あるいは腸の内面にあるレセプターが麻痺し腸の活動が不活発になった場合の薬など。

 鎮痛剤の使用をやめられなくなった場合に、禁断症状を軽減することにより、使用の中止を手助けする薬もある。

 2016年にアメリカ全体で、オピオイド鎮痛剤の処方箋が3億3,600万枚発行され、製薬会社に86億ドル(9,460億円)の収入をもたらした。また、オピオイド鎮痛剤の副作用に対処するための市場は30億ドル(3,300億円)にまで膨らんでおり、2022年にはそれが60億ドル(6,600億円)に達するとみられている。

<副作用に対処するための薬>
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 製薬会社は、オピオイド鎮痛剤の販売で数十億ドルを稼ぎ、さらにその過剰投与からくる副作用のための薬で数十億ドルを稼ごうとしている。

 副作用に対処するそうした薬は確かに必要なものである。そうした薬を処方された人が救急外来に駆け込む確率は63%減少したという調査結果もある。必要な薬を必要な人に適正な価格で提供されるようにしなければならない。

 副作用に対処するそうした薬は、特許切れで安価に提供されていた。自治体は利用の促進を図り、処方箋なしで市販薬として購入も可能になってきた。また、中毒者に対応するため自治体や病院自身もそういう薬を大量に購入している。

 しかし、ここ数年の間に製薬会社はそうした薬の価格を大幅に引き上げている。ある薬は9ドル(990円)から220ドル(24,200円)へ引き上げられた。こうしたことから、製薬会社は巨大な利益を得るようになってきている。また、製薬会社は薬の特許が切れると、少し効用を加えたものを出して新たに特許を取得し、独占のうまみを持ち続けている。

 オピオイド鎮痛剤の服用に伴う便秘のための薬は近年、利用が急拡大し、薬の価格が上昇するとともに製薬会社の利益も増大している。2014年の販売額は19億ドル(2,090億円)で、2022年には28億ドル(3,080億円)になるものとみられている。3年前にはオピオイド鎮痛剤の服用に伴う便秘のための薬は1種類のみであったが、2019年には8種類に増える見込みである。

 ある専門家は、「製薬会社が病気を作り出し、その治療のための薬を売っているようなものだ」という。議会でもこうした薬の価格引き上げを問題視するようになっており、規制が必要との声も強まっている。

  * 日本では厳しく規制されている。
    2年前には、トヨタ自動車の新任のアメリカ人女性役員が違法薬剤を密輸したとして逮捕された。

 

終末期医療を見直す [医療]

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  イギリスの経済週刊誌「The Economist」最新号の記事。
  アメリカ、日本、イタリアブラジルの4か国での、終末期医療に関する近年の動きを報じている。

  記事は日本の以下の話題から書き始めている。
  「日本の等々力駅近くの小さなお寺にあるお地蔵さんに近くの住民が『ぴんぴんころり』をお祈りしている。その意味するところは、元気な生活が長く続くこと、そして速やかな痛みのない死を迎えることの二つである。」

  しかし、近代医療は人々に長寿とともに、より多くの病をもたらしている。
  速やかではなく、無痛でもない。時には精神的にも苦しめられる。
  多くの人は、死が近づくと、死を一日延ばしにするよりも、より大切にしたいことがあるものだ。しかし、それが何か、聞いてもらえる人は少ない。

  先進国では、多くの人は、積極的な、しかし無意味な治療を受けた後に亡くなる。病院で一人ぼっちで、痛みに混乱しながら。

  幸いにも、医療は不治の病を抱える人たちに、より思慮深いアプローチをするようになり始めている。終末期医療の行い方、医師と患者との間のコミュニケーションの取り方について。見直しが進めてられている。
  患者は、痛みや苦痛が改善し、自分の生き方について最後まで自分で考えてゆくことができる。

  平均寿命は過去4世代の間の方が、それまでの8,000年間よりも延びた。1900年には世界の平均寿命は32歳であり、これは人類が農業を行うようになったころに比べ、少ししか延びていない。現在の平均寿命は71.8歳である。これは幼児死亡率が低下したことによる。1世紀前には、5歳になるまでに3分の1が亡くなった。

  昔は、死は疫病などにより突然やってきた。現代では、一部のがん患者のように数週間で急に容態が悪化し死に至ることもあるが、多くは10年近くも、治癒と再発を繰り返したうえで亡くなる。

  多くの人は、過剰で無意味な治療の後に亡くなる。日本の医師に対する調査によると、気管挿管された患者の90%は回復することなく死を迎える。しかし、日本では病院で亡くなる患者の5分の1は挿管されていた。アメリカの亡くなったがん患者の8分の1は、死の2週間前にも化学療法を受けている。そのような時期に化学療法を行っても効果はない。アメリカではなくなった患者の3分の1が死の直前の1年間に手術を受けている。そのうちの8%は最後の1週間に。

  医療報酬の計算方法が過剰治療をもたらしがちだ。病院は何かしたことに対して、お金を受け取る。そして、患者のみならず家族までもが苦しむ。気管挿管を必要とするような患者は、もはや自分の判断を伝えられる状態にないことが多い。しかし、治療の方針は既定の通常のやり方により行われ、患者自身が診断内容を理解したうえで選択できることは少ない。

  終末期医療がうまくいっていないことの責任は主に病院側にある。医師と重篤な患者の関係は、「相互不信」の関係だ。医師は生きられる期間を長く言いがちだ。2か月以内に亡くなった患者の診断を調べてみると、平均では患者は告げられた期間の半分より少し多いだけしか生きられなかった。

  医師は、鎮痛のためのモルヒネの使用、呼吸困難への処置、カウンセリングなど、患者の苦痛を軽減するための治療を怠りがちだ。
  いくつかの調査結果を見てみると、化学療法などの通常の治療に加えて、苦痛を軽減する治療を受けた患者は「うつ」になる率が低く、より長く生きることができた。ある調査結果では、通常の治療だけの患者が9か月間生きたのに比べ、苦痛を軽減するための治療を同時に受けた患者は1年間生きることができた。

  会話は医療技術よりもより効果的なことがある。すべての医師は十分なコミュニケーション能力を持つべきだ。そのためのガイドブックもできている。それは終末期の患者に対して医師が必ず話をしなければならない事柄のチェックリストである。

  アメリカでは、意思表示ができなくなった時にどのような治療を受けたいか、事前に文書にしておくことを、65歳以上の人の51%が行っている。こうしたことはアメリカ以外ではまだあまり行われていない。日本では「エンディングノート」が利用可能になっている。

  「死」は多くの人にとって恐ろしいものであることに変わりはない。治療する側が変わらなければ、多くの人が引き続きその最後において不必要な苦しみを味わい続けることになるであろう。


「超高齢者医療の現場から」 [医療]

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  中公新書の一冊。2011年刊。
  著者は医師の後藤文夫さん。
  現場に携わる立場から高齢者医療の問題を探る。

1 要介護高齢者の急増に対処できない
(1)ケアマネージャの機能低下
  ア 本来は介護施設と高齢者の間に立って中心的役割を果たすことが期待されているが、ケアプラン作成等の報酬が低すぎて独立できず、介護事業者と連携して活動していることが多いため、高齢者よりも介護事業者側に立った行動になってしまう。

  イ 加えて、厚生労働省と自治体は介護サービスを抑制して介護保険費用の節減を図るため、ケアマネージャの活動に種々の制限を加えている。

(2)専門的介護が必要な高齢者ほど介護施設に入所しにくい
  ア 特別養護老人ホームでは、気管切開チューブの吸引、胃ろうの造設による経管栄養、褥瘡の処置などが日常的に行われている。しかし、夜間は看護師不在になることから、気管吸引のように生死にかかわる処置の実施には不安があり、そういった医療的処置が必要な高齢者が入所を断られるケースが増えている。
  
  イ 医療的処置ができる、ショートステイのための介護施設も少ない。

(3)年金受給額だけでは施設への入居費用を賄えない
  ア 相部屋タイプの特別養護老人ホームであっても、年金受給額だけでは賄えず、国の補助に加え、家族の支援が必要になっている。

  イ 家族の支援が得られない場合は、生活保護の受給を求めることになるが、自治体は生活保護受給世帯の急増に悲鳴をあげることになる。

(4)入所希望高齢者の待機を減らせるか
    所得の制約から、低廉な費用で入所可能な施設では、待機者が定員を上回るということも多い。保育園への待機児童の解消だけではなく、入所希望高齢者の待機解消も社会福祉の重要な課題である。

(5)有料老人ホームを巡るトラブル
  ア 民間事業者が開設する有料老人ホームでは、入居時に数千万円の一時金の支払いを求められるところも多いが、入居してみると、サービスの質や居住環境が気に入らず、短期間で中途解約することが少なくない。しかし、その場合、一時金を戻してもらえないというトラブルが続出している。

  イ また、特殊な介護や治療が必要になった場合には退去を迫られることがあり、トラブルとなる。

2 超高齢者(85歳以上)に多い病気
(1)脳血管障害
(2)誤嚥性肺炎
(3)食事中の窒息
(4)尿路感染症と排尿障害
(5)骨粗鬆症と骨折
(6)褥瘡と閉塞性動脈硬化症
(6)帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛
(7)認知症とうつ病

3 尊厳死と安楽死
(1)尊厳死
   ア 延命治療を拒否し、自然死を選ぶ。
     ・不治の状態で死が迫っている場合、ただ単に死期を引き延ばすための延命措置をしない。
     ・苦痛を和らげるための緩和医療は行う。
     ・持続的植物状態に陥った時は、生命維持措置を行わない。

   イ 重度の認知症の人の尊厳死については反対意見が多い。
     ・死に直面していない。
     ・重度の認知症を尊厳死の対象とすることは、それ以外の知的・身体的・精神的な障害をもその対象に加えかねない危険性をはらむ。

(2)安楽死
    毒薬や麻薬、睡眠薬などによって死を早める行為。
    安楽死の条件
     ① 耐え難い肉体的苦痛
     ② 死期が迫っている
     ③ 肉体的苦痛の緩和、除去の手を尽くした
     ④ 患者の明示の意思表示がある

   *消極的安楽死
     自分で食べられなくなった人への食事介助、経管栄養、点滴などの中止により、死をもたらす行為。

「いのちとは何か」 [医療]

IMG_20170112_0001.jpg 著者は本庶佑さん。免疫学の権威。近年、ノーベル賞候補に毎年挙げられている。この本は2009年に出版された。

 この本では、20世紀中ごろ以降における生命科学の目覚ましい発展、すなわちDNAの二重らせん構造の発見から始まり、ヒトゲノム全解読やIPS細胞の発見へと続く一連の流れの解説に多くのページが割かれている。その中で、進化の過程における生物の複雑化と多様化にも目を向けている。

 それだけであれば、生命科学の発展に関する解説本に過ぎないが、著者はこの本の題名を「いのちとは何か」とした。また、序章では以下のように言う。
  「新しい生命科学がもたらした『生命の思想』というべき『生き物の在り方』を統一的に考え、それが今後の生命科学の発展に向けた指標となりはしないかという期待。これこそが、わたしが本書をまとめようと決めた大きな理由である。」

   しかし、この本は設定したテーマが大きすぎたのではないだろうか。書名にある「いのちとは何か」という問いに対する著者の答えや「生き物の在り方」に関する著者の考えは見当たらないように思う。

   一方、幸福や病気について著者はこの本で以下のように言っている。
1 どのように幸福感は得られるか。
 A 欲望充足
    食欲、性欲、権利欲といった欲望を満たして、快感を得ること。
 B 不安除去 
    自分の生命が危険にさらされる恐怖や不安がないこと。

2 医学の目的、使命は・・・
 A 病から人類を解放することであるが、決して永遠の寿命を目指すものではなく、天寿を全う出来るようにすること。
 B 病を治癒し、患者に幸福感を与えること(不安感を除く)。
  医師は病気の治癒に専心するばかりではなく、患者の不安感を取り除き、幸福感を味わうことができるようにすることが使命。患者の側も、医師に過度の依存をしたり、病気が治って当たり前と考えてはいけない。医療は患者の自己治癒力を助ける側面が多い。

3 (脳の研究が進んでいるが)我々の心の理解にどこまで迫ることができるであろうか。心はひとそれぞれのものである。一人一人の心の中身を知ることは不可能であろう。

  これらについては、以下のような疑問が浮かんでくる。
1 欲望が充足され、死の恐怖がなければ幸福というのはあまりにも物質的、単体的な考え方。他者との精神的な融合の中で幸福を得るという観点がない。
2 医学の目的は。「天寿を全うできるようにすること」というが、その意味があいまい。また、病を治して患者が幸せになるのは自明であるが、治せない場合にどうするかということに触れていない。
3 患者に対して「医師に過度に依存するな」、「治って当たり前とは思うな」とはどういう意味でいっているのだろうか。治る見込みのない患者に対するやさしさが感じられない。
4 「ひとりひとりの心の中身を知ることは不可能」ということは言うまでもないこと。

  著者が開発に関与したがん治療薬「オブジーボ」の大変高価な価格設定も考え合わせると、著者は研究者としては顕著な功績を挙げたのであろうが、病に苦しむ人たちへの思いやりはないように思う。

「高血圧は薬で下げるな!」 [医療]

1479107501769-2113398996.jpg  浜六郎さんという医師が書いたもので、角川ONEテーマ21の1冊。「血圧180/100までは降圧剤は必要ない」と言っています。現在の高血圧のガイドラインでは、家庭で測る血圧で135/85以上を高血圧としていますので、見解に相当の開きがあります。この本では降圧薬の副作用として、認知障害や免疫力の低下を挙げています。できるだけ降圧薬に頼らないようにした方がよいようです。私も現在、降圧薬を服用しているのですが、薬なしにできるよう以下のようなことをしています。
1 運動をする(毎日平均1万歩が目標)
2 塩分を控える(1日6グラムが目標。外食が問題ですが)
3 寝不足にならないように注意する(毎日7時間の睡眠)
4 野菜や果物を取るようにする(トマトジュースとリンゴを毎朝)
5 サプリメントをとる(現在、ルチンとフィッシュオイルの錠剤)

2か月に一度、クリニックに行き薬を処方をしてもらいますが、血圧を測るだけで数分で終わりです。生活指導などは一度もありません。お医者さんとしては治療がいらなくなっては困りますので、止むをえません。お医者さんに頼らず、自分で努力するしかないと思います。