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リチウムイオン電池の現状と未来 [エネルギー]

リチウムイオン電池.jpg

  * イギリスの経済週刊誌「ECONOMIST」最新号に拠る。

1 電気自動車
  昨年、世界中で販売された電気自動車は75万台であった。
  新車販売全体の1%にも満たない。
  しかし、テスラモーターの「Model 3」や、GMの「シボレーボルト」のように、航続距離がガソリン車に匹敵するような車が販売されるようになってきた。
  機能を向上させた日産リーフも9月には発表される。

  多くの専門家は、電気自動車の保有に関するトータルのコストは数年以内にガソリン車に並ぶ、とみている。
  この結果、電気自動車の販売は2020年代に急増し、2030年代には自動車販売の過半を占める。

  中国では現在、世界全体の約半分の電気自動車が販売されているが、プラグインハイブリッド車も含め電気自動車の販売は2020年には200万台、2020年代末までには700万台に達すると見込まれている。
  イギリスとフランスは、2040年にはガソリン車やディーゼル車は認められなくなるとしている。

2 リチウムイオン電池
  リチウムイオン電池は26年前、ソニーがビデオカメラで初めて採用した。
  その後、コンピューター、携帯電話などに使用されるようになった。
  昨年、世界のリチウムイオン電池の約50%は電気自動車用となっている。
  主なメーカーは、日本のパナソニック、韓国のLG化学とサムスンSDI、ならびに中国のBYDとCATLであり、いずれも積極的に能力増強のための投資を行っている。

  テスラモーターはパナソニックと共同で、50億ドル(5,500億円)を投じてネバダ州で新工場を建設している。

  大規模な能力増強投資は、単位当たりの生産コストを引き下げる。
  2010年では、1キロワット時当たりの生産コストは1,000ドル(11万円)であったが、昨年は130~200ドル(1.4~2.2万円)にまで下がっている。
  GMは、ボルトで使用している60キロワット時の電池のために、LG化学へは1キロワット時当たり145ドル(1.6万円)を支払っている。
  テスラモーターは、モデル3のための電池のコストはさらに低いと言っている。

  また、大規模な研究開発投資により、重量当たりの蓄電量の増加や、耐用年数の長期化が実現しつつある。
  GMのボルトで使用している電池の保証期間は8年である。


3 蓄電システム
  昨年、オーストラリアで大規模停電が発生した後、テスラモーターはオーストラリア政府にリチウムイオン電池を使用した電力貯蔵システムを提案した。
  また、リチウムイオン電池は、自然環境により発電量が変動する太陽光発電や風力発電で、使用可能電力の平準化を可能にする。

4 過剰生産
  昨年時点で、リチウムイオン電池の生産能力は需要を30%上回っている。
  メーカーは電気自動車用リチウムイオン電池の価格低下のため、損失を被っているか、あるいは非常にわずかの利益しか得られていない。
  しかし、各社はさらに生産能力を拡大しようとしている。
  これは、利益よりもマーケットシェアを重視するという、アジア的な経営方法だ。
  電気自動車と蓄電システムの両方の需要が増加してゆけば、こうした投資戦略も成功することになる。

5 リチウムイオン電池の原材料
  リチウムイオン電池ではリチウムやコバルトを使用するが、リチウムの価格は2015年から現在までで4倍になった。
  コバルトの価格も2倍以上になっている。
  リチウムの埋蔵量は十分あるとみられているが、コバルトは大半がコンゴ民主共和国で産出されており、政情の不安定な国に依存しているというリスクととともに、採掘ための労働力の一部を児童に頼っているという倫理上の問題を抱えている。

  リチウムイオン電池のメーカーは、コバルトを他のものに代替させる研究を進めている。
  使用済みのリチウムイオン電池からのリサイクリングも必要と考えられている。
  
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