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「頭のでき」 [教育]

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  ダイヤモンド社、2010年刊。原著は2009年刊。
  著者は、ミシガン大学心理学教授のリチャード・E・ニスベットさん。

  知能は遺伝によって決まると考えている人もいるが、近年の研究成果では、知能は環境によって大きく変わることが明らかになってきている。
 
1 子供の知能を高める方法
  子供の知能や学力を上げるためにできることは、数多くある。

(1)生物学的方法
   妊娠中に運動をして、喫煙や飲酒を避け、新生児は母乳で育てる。

    A 体の大きな赤ん坊の方が、賢い大人に成長する。
     それは、体の大きな赤ん坊の方が、健康で、脳も大きいため。
     脳が大きい方が、平均的に知能が高い。

   B 母乳で育てた方がIQは高くなる。
     早産の赤ん坊には母乳が特に重要だ。

(2)教育的方法
  ・子供に対して、高いレベルの語彙を使って話す。
  ・大人の会話に参加させる。
  ・本を読んで聞かせる。
  ・なるべく叱らず、身の回りの環境の探求を促すような言葉をなるべく多くかける。
  ・過度の重圧をかけない。
  ・モノや出来事の分類や比較の仕方を教える。
  ・世の中の興味深い面を解析して評価するよう促す。
  ・課外で、知的刺激となるような活動をさせる。
  ・知的興味を促してくれるような友達と付き合うよう仕向ける。
 
2 知能が高くなる要素
(1)自制心
   平均以上の自制心を持つ子供の方が知能が高く、学力も高くなる。
   その場の満足(クッキー1枚)を我慢して、後によりよい報酬(クッキー2枚)を得ようとする子供の方が、10代になったときの成績がよかった。
   
(2)懸命に努力する
   能力や成績は、勉強をして手に入れるべきものと考える。
   失敗した後に、とくに懸命に勉強する。
   一生懸命挑戦する意欲を持つことが重要だ。

   賢いからと子供をほめるのは良くない。
   子供は賢さを示そうと、出来そうな問題ばかりに取り組み、骨のある課題を避けるようになる。

   一生懸命取り組んだことをほめられると、子供は、自分の限界を試し、さらに上達する方法を教えてくれるような問題を好むようになる。

3 効果的な個別指導
  効果の上がる個人教師の指導法の特徴は以下の通り。
  ① コントロール感を生徒に持たせ、課題をうまくこなせていると感じさせるようにする。
  ② 生徒にチャレンジさせるが、生徒の能力の範囲に収まるようなレベルの難易度に留める。
  ③ 生徒に自信を植え付ける。
    そのために、正解した場合は、自分は難しい問題を解けたんだと納得させる。
    間違った場合は、間違えた理由を示し、正しかった部分を評価する。
  ④ 表面的には違って見える問題同士を結び付けることで、生徒の好奇心を育む。

4 東アジア人とユダヤ人
  東アジア人は算数や理科の学力が高い。
  また、アメリカでユダヤ人が占める割合は2%に満たないが、アイヴィーリーグの学生のうち3分の1はユダヤ人だ。
  さらに、科学分野のノーベル賞のアメリカ人受賞者のうち、27~40%をユダヤ人が占めている。

  これらは遺伝的要素というよりは、知的成果に大きな価値を置くという文化に由来していると考えられる。

   

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「教育勅語の何が問題か」 [教育]

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  岩波ブックレットの一冊。2017年10月刊。
  教育史学会編。

  教育勅語は、1890年に作られた、明治天皇の署名と押印がある文書で、文部省から各学校に周知された。
  その後、1945年の敗戦まで、天皇の言葉として神聖視され、基本的な考えとして教え込まれた。  敗戦後の1948年、衆議院並びに参議院において、教育勅語の排除、失効が決議され、効力を失った。

  しかし、最近、その教育勅語が亡霊のようによみがえりつつある。
  政府は、2017年3月の閣議決定で、「憲法や教育基本法に反しないような形で、教育に関する勅語(教育勅語)を教材として用いることまで否定されることではない」との見解を発表した。
  また、明治神宮などのように、宗教施設では参詣者へ配布するために教育勅語のコピーを置いているところもある。
  教育勅語の内容を見てみると、今の内閣や、明治神宮などの宗教施設の反動保守的な性格が分かってくる。

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1 教育勅語の内容
  問題となる個所を訳文でひろってみたい・

 「私(明治天皇)の祖先である神々や歴代天皇が、この国を始めたのは宏遠なことであり、道徳を樹立したのは深厚なことである。」
 「我が臣民は、よく忠に励み、よく孝に励み、みなが心を一つにして、代々その美風をつくりあげてきたことは、これは我が国体の華々しいところであり、教育の根源もまた実にここにあるのだ。」
 「汝ら臣民は・・・非常事態の時には大義に勇気を奮って国家につくし、そうして皇室の運命が永遠に続くように守らなければならない。」
 「過去においても臣民の祖先は忠孝に尽くしたので、現在の臣民がここに示した徳目を守る忠誠を示せば、祖先に対する孝にもなるであろう。」
 「ここに示した道徳は、実に私の祖先である神々や歴代天皇の遺した教訓であり、皇孫も臣民もともに守り従うべきところであり、これを現在と過去を通して誤謬はなく、これを国の内外に適用しても間違いはない。」

2 教育勅語と現在の憲法の考え方と相違する点
(1)現在の憲法では国民が主権者であるが、教育勅語では「天皇と臣民」という言葉の通り、天皇が国民を統治しているということになっている。

(2)教育勅語では皇室を守ることを第一に置いているが、現在の憲法では以下の文章の通り「国民の福利」を第一としている。
   「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」

(3)教育勅語では神々がこの国を始めたというような神道の考えが示されている。現在の憲法では信仰の自由が保障されており、教育の場で神道的な思想を教えることは認められない。

3 天皇の神格化の呪縛
  戦前、教育勅語のコピーと御真影(天皇・皇后の写真)が各学校に配られ、全員が尊崇すべきものとされた。
  生徒は、教育勅語を読まれるのを聞き、御真影に最敬礼しなければならなかった。
  校長などが教育勅語を読む際に、読み誤りがあれば不敬行為として厳しく指弾された。
  また、御真影に対して最敬礼する際に、頭の下げ方が足りないということで処罰されたものも少なくなかった。
 (内村鑑三は第一高等中学校で、頭の下げ方が足りないということで依願退職に追い込まれた。)

  教育勅語のコピーと御真影自体が、神聖なものとして取り扱わなければならなかった。
  火事により保管していた教育勅語のコピーや御真影が消失した場合には、校長が免職になることもあった。
  また、校長を陥れるために、教育勅語のコピーや御真影を隠したり燃やしたりする事件が頻発した。
  教育勅語のコピーや御真影を盗み、多額の身代金を要求する「誘拐事件」も発生した。
  火災や地震の際に、教育勅語のコピーや御真影を持ち出そうとして逃げ遅れ死亡するという事例も発生した。

  天皇、そして教育勅語のコピーや御真影の神格化が、今では信じられない悲劇を生み出した。   しかし、最も悲惨なのは、教育勅語を教えられ、戦地で「天皇万歳」を叫んで亡くなっていった人たちであろう。



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持続力 [教育]

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 *以下に拠る。
  「決断力」 羽生善治著、角川ONEテーマ21、2005年刊。

1 才能とは、同じ情熱、気力、モチベーションを持続することである
  確かに個人の能力に差はある。
  しかし、それよりも継続できる情熱を持てる人の方が、長い目で見ると伸びる。
  一瞬のきらめきのある人よりも、さほどシャープさは感じられないが同じスタンスで将棋に取り組んで確実にステップを挙げていく人の方が、結果として上に来ている。

  何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも必ず挑戦するだろう。
  報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続してやるのは非常に大変なことであり、それこそが才能だと思っている。

2 子供は「できた!」という喜びが、次の目標へのエネルギー源になる
  将棋道場に通い始めたころ、実力よりも低いところからスタートして、昇級していく楽しみを覚えるよう配慮してくれた。
  将棋に限らず習い事は、自分が少しずつでも進歩しているのが分かると継続できるが、足踏みし、上達しないと嫌になってしまう。
  「上達する」という喜びが、「次の目標」に向かう頑張りの素になる。

3 「真似」から「理解する」へのステップが創造力を養う
  将棋の場合は、他の人の棋譜を並べたり、定跡を覚えるのが一つの勉強法だ。
  しかし、丸暗記しようとするのではなく、どうしてその人がその航路を辿ったのか、どういう過程でそこに辿り着いたのか、その過程を理解することが大切だ。
  ある程度レベルが上がると、すでにできている航路から少し離れたところで見て、自分の航路を考えられるようになる。
  「真似」から「理解する」レベルになると、先駆者の考え方が分かるようになる。
 
  個人のアイデアは限られている。
  何かをベースにして、新しい考えがいろいろ浮かぶ。
  「真似」から「理解」へのステップは、創造力を養う基礎力になる。

4 プロらしさとは、力を瞬間的ではなく、持続できること
  プロとして大切なのは、実力を持続することである。
  実力を維持することを目標としてモチベーションを高めている。
  成績は、その結果として後についてくるものだ。
  成績やタイトルの獲得を目標にしてしまうと、どこかでい行き詰まったり、いつか迷路にはまり込んでしまう。
  
5 知識は「知恵」に変えてこそ自分の力になる
  定跡は、ただ記憶するだけではほとんど役に立たない。
  そこに自分のアイデアや判断をつけ加えて、より高いレベルに昇華させる必要がある。
  定跡を生かすには、情報に溺れるのではなく、まず自分の頭で考えることが先決だ。

6 勝負では、自分から危険なところに踏み込む勇気が必要である
  私は、早い段階で定跡や前例から離れて、相手も自分も全く分からない世界で、自分の頭で考えて決断していく局面にしたい思いがある。
  中盤から終盤にかけて局面が混乱し、複雑な世界に突入する。
  複雑な局面では、私は、局面を何度も整理しなおす。 

  そして、決断する時はたとえその手が危険であっても、分かりやすい手を選んでいる。
  見た目には危険でも、読み切っていれば怖くはない。 


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「新しい学力」 [教育]

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 著者は明治大学の齋藤孝さん。岩波新書の一冊。
 この本では、2020年に予定されている学習指導要領の内容の説明とそれに関する著者の考えが述べられている。

<新学習指導要領の内容>
1 日常生活や仕事などにおいて、各自が直面する課題を解決するために必要な思考力、表現力、判断力等を伸ばし育てる。
2 柔軟な思考力で課題に対応し、自らの発想によって意欲的に道を切り開く人材を育てる。
3 そのために「アクティブ・ラーニング」(活動的で積極的な意識をもって、他者と対話しながら自分の意見を形成していく)という学習方法を採用する。

<著者からの問題点指摘>
1 「アクティブ・ラーニング」を実践できる教師や指導者はいるのか。客観的な評価はありうるか。

2 これまでの伝統的な学校教育はだめだったのか?
 A 学力の国際比較では、日本は欧米主要国より上位にランキングされてきた。
 B これまでも生活綴り方などの国語教育、郷土学習を発展させた社会科教育、実験を重んじた理科教育など、アクティブ・ラーニングに類似した教育が行われてきた。
 C 基本的知識の習得を重視するこれまでの教育方針も大切だ。一方では基本的学問知識を習得し、もう一方では問題解決能力を鍛えていくことが重要で、これは既存の科目構成でも実現できる

3 現代の企業は「学習する組織」であることが求められる。本当に社会で求められる能力とは?
 A 体系的な知識内容を地道に身につける努力とエネルギー
 B 社会生活で求められる知識や技能を身につけようとする素直さ
 C 義務に対してしっかりと応え、新しい使命を遂行する真面目さ
 D 読書、特に古典を読むことが重要。

<私の意見>
1 これまでは授業についていけない生徒が多かった。小中学校から能力別の指導を行うべき。それにより能力のある生徒はより高いレベルの学習をすることができ、一方、能力の劣る生徒も基礎的な知識をよりしっかりと習得できるようになる。能力に応じたクラス分けやクラス内での個人指導を強めるべきだ。

2 教師のレベルアップを進めるべき。能力のある生徒を指導する教師と、能力の劣る生徒を指導する教師とを区分けしても良い。どちらも簡単ではなく、上下関係はない。また、社会人になっても学習を継続する意欲と困難に挑戦する気持ちは重要だが、多くの教師もそういう気持ちを持つべきだ。    

「まいにち中国語」 [教育]

14791076314881335795344.jpg  今年の4月からNHKのラジオ講座「まいにち中国語」を聞いています。実際にはインターネットのNHKの「マイ語学」というサイトを利用しています。これは大変便利はサイトで、1週間分の講座を自分の好きな時間に何度でも聞くことができます。中国語を勉強したいという気持ちは以前からあったのですが、英語で語学を勉強することの難しさを実感していましたので、なかなか中国語には手が出ませんでした。しかし、今回、中国のことをもっと理解したいという気持ちが強くなり、中国語の勉強を始めることに踏み切りました。近年、中国は軍事的には脅威となってきていますが、紛争を避けるためにはお互いが相手の国のことをもっと理解する必要があります。憎みあうことからはいい結果は生まれません。何年かかるかわかりませんが、中国の人と話したり、中国語の本を読めるようになればうれしいと思います。
 ただ、NHKの語学講座が英語に偏重していることが気になります。ラジオ講座では、英語は10種類の講座があるのですが、中国語は2種類だけとなっています。これも日本の教育が英語の勉強に偏っていることの反映なのでしょうが、それだけにNHKはもっと中国語に力を入れるべきと思います。

「語彙力こそが教養である」 [教育]

1477828980857-2113398996.jpg  齋藤孝さんが書いた角川新書の1冊。優れた言葉の使い方やその大切さ、あるいは習得方法を教えてくれる。年代にかかわらず読まれるべき1冊と思われる。私の経験では、時と場合に応じて適切な日本語を使うことは社会人として大変重要。単に難しい言葉を使えばよいとは思わないが、話すにしても、文章を書くにしても、言葉の品格や気持ちの込め方が予想以上の効果を発揮することが少なくない。この著者が書いているように、たゆまぬ努力が必要になる。なお、この本では著者自身が読んで役に立った本を数多くリストアップしており、読書案内にもなっている。その中で、「ミステリーの書き方」、「福翁自伝」、「スターリンのジェノサイド」など、何冊かを読んでみたいと思った。

中国語は難しい? [教育]

1476145578074-2113398996.jpg 今年の4月から中国語のラジオ講座を聞いています。インターネットで1週間分を自分の好きな時間に聞くことができます。聞き始めて6か月が経ちますが、なかなか言葉を覚えることができません。特に発音をしっかりと覚えるのが難しい。散歩のときも単語帳を片手に暗記に勤めています。当面は中国語検定試験4級の合格が目標です。中国語を勉強することにした動機は、以下の通りです。
1 衰え行く自分の脳の活性化
2 中国人観光客を中国語で手助けしたい
3 中国のことをもっと理解したい
などです。日本人の中国人に対する好感度はあまり高くありません。領海侵犯などのニュースにいらだつ人も多いと思いますが、平和的に共存するためには、一般の人々がお互いに理解を深め仲良くなることが大事だと思います。軍備も必要かもしれませんが、それだけでは紛争を避けることはできないと思います。